奈良の野球が熱いのだ!ハマの番長らの「奈良県人会」少年少女野球教室
「元気出して挨拶せなあかんで!」
関本賢太郎さん(元阪神)の大きな声が体育館に響く。
先日、奈良県出身のプロ野球選手の現役OBが集まって結成された奈良県人会が野球教室を開くということで、司会兼リポーターとして参加させていただいた。
会場に集まった野球少年、少女たち約200人は、あこがれの選手の皆さんからの熱血指導に目をキラキラさせる。
守備を担当していた久保康友投手(前DeNA)は、子供たち以上に身体を動かし『守備は球が飛んでくる前から始まっている』と準備の大切さを何度も繰り返し指導されていた。
体育館の隅では、教えてもらった動きを繰り返す少年少女たちの姿が。それを見てふと、30年前の自分も藤田平さん(元阪神)の野球教室で当時現役バリバリの岡田彰布さん(元阪神、オリックス監督)に守備を教わった事を思い出した。
なぜだろう。3日前の晩飯すら思い出せないのに、30年も前の天気、教えてもらったグラウンドの細かい位置、異様なまでに美しいタイガースのユニホームの白い部分は全て思い出す事が出来る。
この子供の頃の強烈な1日が彼等にとっては今日なのだという事に改めて気づかされた瞬間だった。
打撃を教える関本賢太郎さんと岡崎太一捕手(阪神)は、まず一番大切な事は強く振れる事だとフルスイングをするように促した。
空振りしても「それでいい!」
さらには「奈良からメジャーやぁ!無理やったらタイガースに来てくれ!」とネタを入れ込む事も忘れない。
そして中でも子供たちから一番人気だったのが、名誉会長でもある三浦大輔さん(元DeNA)である。
子供たちのスピードガン対決を前にプロ野球選手のデモンストレーションがあったのだが、若手に任せる事なく、自らが投球。1球で終わるはずが計測できていないという、ちょっとしたトラブルにも嫌な顔一つせず数十球を投げ込み、速球で子供たちをうならせた…と思えばスローカーブで保護者たち大人も大歓声をあげる。
こんな話も聞いた、奈良県内でスポーツ店を営む松田修一さんから「朝、三浦番長がうちのお店にきてくれたんですよ!」
その事を本人にたずねると、「学生時代、しょっちゅう通っててお世話になってたスポーツ店なんですよっ」。さらりと答えてくれた。
元気な声で挨拶する、準備する、受けた恩は忘れない。
きっと速い球を投げるより、遠くへボールを飛ばすよりも大切な事を野球を通してこの日教わったであろう。
昨年のセンバツで智弁学園が全国優勝、今年の夏の選手権では天理がベスト4、さらにはドラフト1位をみても2013年の吉田一将投手(オリックス)、2014年岡本和真選手(巨人)、今年は鍬原拓也投手(巨人)と近年奈良県出身も多数いる。
奈良の野球が熱いのだ!
将来、この野球教室出身の子供たちがプロ野球選手になり、恩返しする日が来るならばこんなに素晴らしいことはない。