【選手権100回大会企画15】山梨の高校野球

 山梨県の高校野球は、東海大甲府の台頭が転機となった。山梨県勢は、1935年の第21回大会で甲府中(現甲府一)が初出場し、81年までわずか4勝にとどまっていた。その間の最高成績は、66年の第48回大会で、甲府工の8強だった。

 東海大甲府が風穴を開けた。大八木治監督の下、2度目の出場となった翌82年の第64回大会で、県勢16年ぶりの勝利を含む2勝を挙げて3回戦へ進出した。

 84年からは5年連続で出場した。85年の第67回大会は、準々決勝・関東一戦で、3点差を追う九回に4安打で4点を奪って逆転勝利。県勢として初の4強へ進出した。しかし、準決勝は4点リードを守れず、宇部商にサヨナラ負け。あと一歩で決勝進出を逃した。

 その後も安定して力を発揮し、87年センバツ準決勝では、同年に春夏連覇を果たすPL学園と接戦を演じて4強へ進出した。

 村中秀人監督が就任してからは、2004年の第86回大会で4強へ進出。3回戦・聖光学院戦は、2点を追う九回に清水満が右中間へ逆転サヨナラ3ランを放って8強入りを決めた。ただ、12年の第94回大会も4強へ進出したが、決勝には進出できていない。

 また、山梨県勢では公立校の活躍が目立つ。市川は春夏通じて初の甲子園出場となった91年センバツで、2試合連続の逆転サヨナラで4強へ進出。“ミラクル市川”を呼ばれた。同年の第73回大会でも3回戦で樋渡卓哉投手が、我孫子を2安打完封し、8強へ進んでいる。

 吉田は3番・田辺徳雄(元西武など)を中心に、83年の第65回大会に出場した。1回戦で吉井理人(元ヤクルトなど)ら擁する箕島と対戦。延長十三回に1点を勝ち越しながら、直後に逆転サヨナラ負けで敗れた。

 だが、6年後の89年の第71回大会では、エース・井出竜也(元日本ハムなど)が主体となり、初勝利を含む2勝を挙げて3回戦へ進んだ。

 甲府商は2007年の第89回大会1回戦で境を破り、堀内恒夫(元巨人)がエースだった63年以来44年ぶりの勝利を挙げた。

 公立では県内最多出場と最多勝を誇る甲府工も、山村宏樹(元楽天など)が軸となって93年の第75回に出場。敗れはしたが、2回戦・修徳戦で高橋尚成(元巨人など)と投手戦を繰り広げて0-2で惜敗した。

 ◆山梨県勢の夏の甲子園アラカルト

【出場回数ベスト5】

1位・東海大甲府13回

2位・甲府工8回

3位・山梨学院7回

4位・日本航空5回

5位・日川4回

【勝利数ベスト5】

1位・東海大甲府20勝

2位・甲府工6勝

3位・市川3勝

3位・甲府商3勝

5位・日本航空3勝

【最高成績】4強・東海大甲府(3回=1985年、2004年、12年)

【通算成績】

94試合

41勝53敗

勝率・436

【主な監督】

 大八木治…元東海大甲府監督。1979年に就任し、91年センバツ後に退任するまで、甲子園に春夏通算11回出場。3度の4強へ導き、17勝11敗。86年夏から88年夏まで5季連続出場を果たした。

 村中秀人…東海大甲府監督。2003年には同校を11年ぶりの甲子園へ導いた。04年、12年も4強へ進出。村中恭平(ヤクルト)、高橋周平(中日)、渡辺諒(日本ハム)とドラフト1位選手を育て上げている。

◆デイリー独断!山梨県の高校を卒業した選手のベストナイン

【先発】甲府商・堀内恒夫(元巨人)

【中継ぎ】日大明誠・木田優夫(元巨人など)

【抑え】都留・小林雅英(元オリックス)

【捕手】甲府工・中沢伸二(元阪急)

【一塁手】甲府一・内藤博文(元近鉄)

【二塁手】東海大甲府・高橋周平(中日)

【三塁手】吉田・田辺徳雄(元巨人)

【遊撃手】東海大甲府・久慈照嘉(元阪神)

【外野手】吉田・長田幸雄(元大洋)、吉田・井出竜也(元ソフトバンク)、山梨学院大・松本哲也(元巨人)

(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)

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