視線の先にはメジャーも 元広島の薮田和樹「楽しみしかない」メキシカンリーグ33歳の挑戦 愛息4歳「僕のユニホーム姿が記憶に残るように」
昨季限りでオイシックスを退団した元広島の薮田和樹投手(33)が、今季からメキシカンリーグのサルティーヨ・サラペメーカーズに入団する。今月、沖縄キャンプ中の古巣を訪れた際、入団の経緯や意気込みなどを語った。17年には最高勝率のタイトルを獲得し、カープの連覇に貢献した右腕の挑戦は続く。
薮田が次の挑戦の地に選んだのはメキシコだ。海外でプレーするのは、これで2カ国目。「一番は経験になる。ゆくゆく指導者とかになるにしても、海外での経験は強みになると思う。いろんな経験値を積む意味でも挑戦を決めました」。春季キャンプで活気づく沖縄の地で、決断の理由を明かした。
24、25年はオイシックスでプレー。25年9月に退団すると、同年11月から1カ月間、中東と南アジアを拠点とするプロ野球リーグ「ベースボール・ユナイテッド」でプレーした。そこで知遇を得た関係者を通じて、今回のメキシコ移籍が決まった。
投球スタイルは、広島時代から劇的なモデルチェンジを遂げている。かつての力で押す投球から、現在は打たせて取るのが持ち味だ。カットボールやシンカーにも比重を置き「1球で仕留める」。さまざまな国から強打者が集う中東でも手応えをつかみ、自身の進化を確信した。
メキシカンリーグは伝統的に「打高投低」で知られる。リーグの半数の球場が標高1000メートル以上の高地に位置することが要因の一つだ。投手にとっては過酷な環境だが、薮田はそれを歓迎する。
「そこで抑えることができれば、それこそ、もっと先のいろんなメジャーとかの選択肢とかも広がるかなとも思った」。その視線はさらに高いステージを見据えている。
現役を続けることは、家族の願いでもある。22年に生まれた長男は今年4歳。「僕のユニホーム姿が、記憶に残るようにしたい。(妻から)できる間は続けてほしいというのもあった」。最愛の家族の後押しが、右腕を突き動かす原動力だ。
海を渡る理由は、もう一つある。
「毎年、戦力外になる選手が100人以上いると思う。その道しるべになれたらなって思います」
海外挑戦という新たな選択肢を示す。そんな使命感も胸に秘める。諦めずに腕を振り続ける姿は、同じ境遇の野球人たちに勇気を与えるはずだ。
新井監督からは「頑張ってこい」とエールを送られた。「楽しみしかないです」。新たな野球人生のスタート。最高勝率右腕の目は、まぶしく輝いていた。
◇薮田 和樹(やぶた・かずき)1992年8月7日生まれ。広島市出身。188センチ、84キロ。投手。右投げ右打ち。中学時代は広島安芸リトルシニアでプレー。岡山理大付高を経て、亜大に進学。右肘や右肩の故障に悩まされながら、14年度ドラフト2位で広島に入団。17年に15勝3敗で最高勝率(.833)のタイトルを獲得。23年オフに戦力外通告を受け、オイシックスに入団。2年間プレーし、25年オフに退団した。25年は23試合登板、2勝9敗0セーブ、防御率4.65。広島での1軍通算成績は123試合登板、23勝11敗0セーブ、防御率3.94。





