広島ピースナイターで吉川晃司が魂のイマジンアカペラ大熱唱 被爆80年の節目に「ワシらが頑張らにゃいけんことがある」 始球式も

 5回終了後、「イマジン」を熱唱する吉川晃司さん(撮影・北村雅宏)
 始球式を務める吉川晃司
 特別ユニでプレーする末包(撮影・飯室逸平)
3枚

 「広島0-2阪神」(13日、マツダスタジアム)

 13日の広島-阪神戦(マツダ)が恒久平和を願う「ピースナイター2025」として開催され、広島出身の歌手で俳優の吉川晃司さん(59)がゲストで登場。五回裏終了後にはジョン・レノン作詞作曲の「イマジン」をアカペラで大熱唱した。被爆2世でもある吉川さんは恒久平和を訴え、試合前の始球式では103キロを計測してファンを盛り上げた。試合は打線が振るわず、広島が今季18度目の完封負けを喫した。

 広島の夜空に魂の歌声が響き渡った。伝えたい思いがある。忘れてはならない歴史がある。緑と赤で埋め尽くされた球場の中心で、吉川さんが恒久平和を訴えた。「ちょっと、イマジンは緊張しますね。精いっぱい歌いました」。美声を耳にしたスタンドは、大きな拍手に包まれた。

 この日は「ピースナイター2025」として実施。ナインは胸に「Peace」、背中に「HIROSHIMA」の文字が入った背番号「86」のユニホームで臨んだ。被爆2世でもある吉川さんは「カープの選手には純粋に白球を追っかけて青春を謳歌(おうか)してもらいながら。われわれはその姿を見て泣いたり、笑ったりできるこの平和な日々がいつまでも続いてほしいな、という思い」と野球に一喜一憂できる日常をかみしめてほしいと願った。

 復興とともに歩んできたカープ球団が、原爆投下から80年の節目に平和の尊さを訴えた一日。「ワシは今年で60歳になるんですけど、生まれた時は戦後20年だったんですよ。その時にはもう戦争の香りがほとんどなかったと改めて思う。戦後たった20年であの焼け野原から、これだけ立て直したんだと改めて思いました」。しみじみと先人たちの足跡を受け止めた。

 試合前の始球式にも登場した。高めに投げ込んだ白球は103キロを計測し、スタンドは大盛り上がり。快速球と黒のノースリーブからのぞく筋肉は、とても今月18日に還暦を迎えるようには見えなかった。

 「いつも(球速の)アベレージから10キロ落ちるんです。やっぱり力むんでしょうね。習います!教えてください!」と語り、「自分の希望としては70歳まで歌っていたら、もう一回、ピースナイターに呼んでもらって、70歳で120キロ」と目標を掲げた。

 原爆で壊滅した街の復興を旗印に、産声を上げた市民球団として慰霊の意を表した一夜。「こうやって、みんなで楽しい野球観戦ができるような世の中をずっと続けていけるためにね。次の世代を担う子どもたちのためにも、ワシらが頑張らにゃいけんことがあると思う。1人では非力でも、力を束ねればできることはいっぱいあると思うので、カープを応援しましょう!」。広島のスターは力強いメッセージを残して、球場を後にした。

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