広島・遠藤850日ぶり白星!「最後のチャンス」6回1失点 音響トラブルでお立ち台中止も新井監督「ナイスピッチング」
「広島2-1中日」(3日、マツダスタジアム)
復活じゃ!広島の遠藤淳志投手(26)が2年ぶりの先発で、6回2安打1失点の好投。23年4月6日の阪神戦(マツダ)以来、850日ぶりの白星を手にした。磨いてきた威力のある直球を軸に中日打線を圧倒。四回以降は走者を許さない力投を見せた。新井貴浩監督(48)も右腕の投球を絶賛。チームも9カードぶりの勝ち越しを決めた。
崖っぷちの男は強かった。一球一球に魂を込める姿に魅せられた鯉党の歓声が、回を追うごとに大きくなっていく。久しぶりにつかんだ1勝にほっとした表情の遠藤。「なんか…不思議な感じです」と850日ぶりの勝利の余韻に浸った。
689日ぶりの先発登板。「最後のチャンスだと思って」と気合十分だった。三回に石伊の2号ソロで同点とされるも、「切り替えて投げることができた」と視線は常に前を向いていた。最速147キロをマークした直球は威力抜群。四回以降は走者を許さない完璧な投球で試合をつくった。
オフに昨季のフォームから左足を約30センチ三塁側へ踏み出すように変更。クロス気味にステップすることで、上半身と下半身の捻転差が生まれ、2軍では自己最速を更新する150キロ超えの直球を連発した。
そして迎えた5月6日のヤクルト戦(神宮)。カード2戦目のこの日からロングリリーフ要員として今季初昇格するため、チームに合流した。しかし、試合はあいにくの雨で中止。投手陣の事情もあり、出場選手登録されることなく、広島へ戻ることになった。後日、この日のことについて意外な思いを明かした。
「僕、あそこで登録されなくてよかったと思っています」
1軍を目指す前提は変わらない。それでも「今、状態がとても良くて、何かつかみかけているんです。次、2軍で投げるのが楽しみです」と貴重なアピールの機会を失っても、前向きに汗を流し続けた。
そして7月9日に中継ぎとして昇格し、巡ってきたチャンスで見事に一発回答してみせた。新井監督は「中継ぎでいいものを見せてくれていたので、どこかで先発させたいと思っていた」と明かし、「真っすぐでファウル、空振りが取れていた。本当にナイスピッチングだったと思います」と目を細めた。
チームは9カードぶりの勝ち越しで、8月好スタートを切った。「また次の登板でも、全員の力で勝っていきたいと思います」とチームの団結を強調した遠藤。まだ47試合も残っている。上位進出への貴重な戦力となるべく、マウンドで躍動し続ける。





