広島・大瀬良 津田恒実さん命日に魂の7回0封 「同じ14番を背負わせてもらっている身として」

 5回、梅野を併殺に打ち取り、声を張り上げる大瀬良(撮影・田中太一)
 3回、阪神打線を無失点に抑え、声を出しながらベンチへ戻る大瀬良(撮影・田中太一)
 4回、森下を遊ゴロに打ち取る大瀬良(撮影・山口登)
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 「阪神0-1広島」(20日、甲子園球場)

 高まる敵地のボルテージを、卓越した投球術と闘志で静めていく。特別な日だからこそ、負けられなかった。五回1死一、二塁で広島・大瀬良大地投手は梅野を迎え、2ストライクからの3球目に内角直球を投げ込んだ。ボール球になり、集中力を研ぎ澄ます。「少しでも甘くなると(打者が)甘く感じる球になる。いいところに投げ切れた」。最後は内角シュートで、三ゴロ併殺。右手を大きく突き上げ、ピンチを脱した。

 五回1死まで無安打投球を披露し、六回は2死一、二塁をしのいだ。勝敗は付かずも7回無失点で「走者を出してから粘れたのが良かった」と納得顔。これで16イニング連続無失点とした。

 試合前時点で今季7打数4安打だった近本、9打数3安打の中野を無安打に抑え「好き勝手、やられているので、抑えたい気持ちは強かった」と、これまでの借りを返す形で好投につなげた。

 この日は背番号14の先輩にあたる津田恒実さんの命日。7月20日に先発するのは8年ぶりで、8年前は3回4失点でKOされていた。大切な一日、期する思いがあった。

 「僕が背負えるものではないけど、同じ14番を背負わせてもらっている身として、カープの大先輩として今健康で大好きな野球ができていることに感謝の気持ちを持ちながら。ゼロで抑えて勝てることが今日という日にとっては一番いいこと。ゼロで抑えてチームが勝ったし、前回よりは安心して見てもらえたかな」と思いをはせた。

 7月20日の登板は通算3度目でチームが勝つのはこの日が初めて。「こういう日にいい投球ができてチームが勝ったのは流れが変わる。大事な試合で結果を残せるようにもっと頑張りたい」とさらなる高みを見据えた。

 前半戦最終登板を終えて防御率は0・82。チームも3戦連続完封勝利で「誇らしい投手陣。夏場で、へばってくるところだけど若い力もあるし、いけるところまで突っ走っていきたい」と誓った大瀬良。後半戦もエースがチームの先頭に立つ。

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