広島の大瀬良大地投手（３１）が７日、マツダスタジアムで契約更改交渉に臨み、現状維持の１億８０００万円プラス出来高払いでサインした。来季が３年契約の２年目となり、８勝９敗、防御率４・７２と振るわなかった今季からの巻き返しを狙う。今オフに“パワフルボディー”を取り戻し、エースとしての存在感を示す覚悟だ。（※金額は推定）

　大黒柱として期待されながら結果を残せなかった。８勝９敗で防御率は自己ワーストの４・７２。再調整による出場選手登録抹消も２度あった。悔しさだけが募ったシーズンを大瀬良は言葉に変えた。

　「情けないシーズンだった。その一言に尽きる。全ての項目、数字において情けない数字が並んでいる。当然、悔しい思いもある」

　復権を目指す来季。“パワフルボディー”を取り戻し、１５勝（７敗）で最多勝に輝いた１８年のような打者をねじ伏せる投球を目指す。２０年９月の右肘手術以降は患部への負担を減らす目的で減量による体作りをしてきた。

　「新しい自分が見つかるんじゃないかとチャレンジした。でも自分の中で違うな、感覚が戻ってこないというところもあった」

　今季、直球の平均球速は１４０キロ台前半。打者の反応を見ても脅威を与えられていないと感じ取っていた。「もう一度しっかり体重を戻して自分らしくいい球が投げられるように」。原点回帰した。

　現在の体重は９３キロ。シーズン中の最も軽い時期と比較し「７～８キロ増えている」。肉体改造に手応えがある。

　来季、開幕投手を務めれば、５年連続となり、広島では長谷川良平（６年連続、５３～５８年）、黒田博樹（５年連続、０３～０７年）に続く３人目の栄誉となるが、自身の中ではそれほど重きを置いていない。

　「１年間を通して貢献したい。その思いが一番。その中で選ばれれば大変光栄。でも１年間、自分のパフォーマンスを発揮できていないシーズンが続いているので、僕の頭の中では、そっちの方が大きくなっている」

　今季は開幕戦を白星で飾るなど順調な滑り出しをしたが、６月には４試合連続黒星を喫した。複数の要因がある中で、開幕へ照準を合わせた早めの調整が調子を落とす原因だったとも考えられる。年間を通しての活躍を胸に誓う。それだけに開幕だけを見据えずにじっくりと準備する。

　「もう一度、マウンド上で躍動じゃないですけど、元気に腕を振って『打ってみろ』ぐらいの感じで投げられると打者の反応だったり、守っている野手、僕の背中を見ている野手も気持ちが変わってくると思う。変われるように頑張りたい」

　来季が１０年目。初心に戻った今オフを経て、エースが節目のシーズンに向かう。