広島・林 新井新監督に届け完璧弾 フェニックス・L開幕いきなり!猛アピール

 「フェニックス・リーグ、広島6-4DeNA」(10日、天福球場)

 「みやざきフェニックス・リーグ」が10日、宮崎県日南市の天福球場などで開幕し、広島の林晃汰内野手(21)がDeNA戦でチーム1号となる左越えソロを放った。2-0の四回1死で直球を逆方向へはじき返した。今季の打撃不振を振り払うような一発。就任が決まっている新井貴浩新監督(45)=デイリースポーツ評論家=へ大きなアピール弾にもなったはずだ。

 日南の青空の下、白球が伸びた。逆方向への当たりでも勢いは衰えない。左翼フェンスを越えて芝生の上に落ちると、一塁側ベンチから大きな拍手が巻き起こった。チーム1号。林が完璧な左越えソロを放ってみせた。

 「真っすぐ1本でいきました。久しぶりに良い感じだった」

 四回1死で打席が回ってきた。カウントが3ボール1ストライクとなり狙いを絞る。阪口のやや甘くなった直球をフルスイング。納得の一振りで高く、美しい放物線を描いた。

 「純さん(広瀬2軍打撃コーチ)とバットのヘッドを走らす練習をやってきた。それを継続してやっている」

 シーズン終盤。同コーチがティー打撃をする林を見て、頭が投手側に突っ込み過ぎていることに気づいた。「今頃って思うかもしれない。申し訳ない気持ち」と同コーチ。投手との間合いが取れなかったり、打つポイントに狂いが生じていた。

 助言を受け、頭の位置が前後しないように修正。「頭が残るからヘッドも走るという感じになった。そこから良い感じ」と林。スムーズな体の動きにより思い描くスイング軌道が描けるようになってきた。失投を見逃さなかった一打は、取り組みの成果を証明してみせたものだった。

 悔しさを新たな力に変えて汗を流す。昨季は1軍で102試合に出場し、打率・266、10本塁打、40打点を記録した。しかし、今季は打撃不振で1軍昇格なし。2軍戦でも102試合出場で打率・217、放った本塁打は2本にとどまった。

 「本当に悔しい気持ちだった。フェニックスリーグと(秋季)キャンプでつかんで、来季につなげられるようにしたい」

 チームは今季、勝負どころで流れを変える一発が出ないなど長打力不足に悩まされた。打球を飛ばす力はチーム随一を誇る。選手層の底上げには長距離砲の成長が欠かせないだけに、期待は大きい。

 来季から新井新監督が指揮を執ることに決まった。この日の一発は自身の存在を強く印象づけたに違いない。それでも林は「やることは変わりない。アピールを続けていきたい」と前を見据える。31日まで続く実戦。手応えを確信に変える日々にする。

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