カープ栗林 今季も「失敗しない男」になる 「どんな成績でも2年目のジンクスになっちゃう」

 広島の栗林良吏投手(25)が新春インタビューに応じ、2年目の今季に懸ける意気込みを語った。ルーキーイヤーの昨季は守護神としてデビューから22試合連続無失点を達成。新人最多記録に並ぶ37セーブを挙げ、新人王のタイトルを手にした。今季も昨季同様“失敗しない男”を目指し、リーグ優勝と日本一に貢献することを誓った。

 -明けましておめでとうございます。2年目となる今季は栗林投手自身、さらなる活躍が期待されます。改めて1年目の昨季を振り返ってみて。

 「入団当時は開幕1軍、1年間1軍が目標でした。守護神として1年間戦うことを目標に、結果的に自分が思い描いた目標を達成できた。100点の1年というか、出来過ぎの1年ですね」

 -開幕前の不安や、プレッシャーは。

 「開幕前も入団前もすごく不安を感じていた。森下のように活躍できるかなというプレッシャーがあった」

 -抑えという難しいポジションで手応えをつかめた試合は。

 「思い出深い試合はやっぱりオープン戦の最終登板(注1)。あそこを抑えてから1年間、うまく回れたのかなと思います。(失点していれば)もしかしたら守護神じゃなかったと思いますし、東京五輪にも出られてなかったと思います。あの1試合は僕の中でターニングポイントでした」(注1)3月21日のオープン戦・ソフトバンク戦(マツダ)。1点リードの九回に登板し、2安打1四球で2死満塁のピンチを招いたが、周東を3ボール2ストライクから見逃し三振に仕留め、無失点で切り抜けた。

 -佐々岡監督から抑えでいくと言われた時の心境は。

 「自分でいいのかなという気持ちが一番強かった。なんで自分なのかなと考えることもありました。言われた瞬間、うれしいという気持ちより、自分でいいのかなという方が強かったですね」

 -充実したシーズンを送れた要因は。

 「コンディション維持が1年間できた。トレーニングも、毎試合ケアしてくれるトレーナーさん方のおかげで1年間しっかりやれた。いい人に巡り合えたと思っています」

 -今季も抑えで起用が想定される見込み。

 「自分の中では昨年以上の成績がもちろんベストだけど、なかなか出せないと思う。その中で、昨季はセーブシチュエーションで失敗しなかった。そのことで1年間仕事を果たせたなという感覚なので、今年もそこを目標にやれたらと」

 -2年目のジンクスという言葉もあるが。

 「僕の場合はどんな成績を出しても、たぶん2年目のジンクスになっちゃうので(笑い)。そこは受け止めてやれたらいいと思います」

 -目標の数字は。

 「セーブシチュエーションでの失敗ゼロが一番の目標。防御率はベストが0点台ですが、最低1点台で終われるように頑張りたい」

 -チームは昨年4位。CS出場や日本シリーズへの思いは。

 「やっぱりリーグ優勝して日本一になることが一番うれしいと思います。自分の中では東京五輪で優勝した時にマウンドにいられたのはすごくうれしかった。あれを自分のチームでできれば、(五輪と違って)有観客でカープファンの皆さんに見てもらえるし、選手全員が望んでいることでもあるので。リーグ優勝して日本一になることを目標にしていきたいと思います」

 -6月13日のオリックス戦(京セラドーム大阪)でデビューから連続無失点の記録が22試合で途切れた。味方が九回に3点差を追いついた直後のマウンドだったが、普段の準備とは違った難しさがあったのでは。

 「ああいう試合は初めてだった。(リードされている展開で)『追い付くのかな』と思って投球練習を始めてしまったことが一番ダメだった。いつもと同じ投球練習ができていなかったのは、あの試合の一番の反省点でした」

 -オリックス戦での経験を踏まえて、準備の大切さを改めて痛感したのでは。

 「そうですね。大学、社会人では先発をしていたので、自分の投げる日だけ集中してウオーミングアップをしていた。でもプロになってからは毎日、いつ投げるか分からないですからね」

 -記録が途切れた次の登板は、15日の西武戦(マツダ)。見事に3者連続三振でセーブを挙げた。

 「打たれた後、いろんな人から『点を取られた後が大事だよ』と言われていた。親も心配してわざわざマツダスタジアムまで応援に来てくれたんですが、そこで結果的に3者連続三振で抑えられたのは本当に良かった」

 -他に印象に残っている試合は。

 「6月30日の東京ドームでの巨人戦、1-0で勝った試合。先頭の岡本和選手を直球で空振り三振。次の坂本さんも見逃し三振を取って、最後は梶谷さんと対戦して二ゴロだった。カウントが全部3-2だったんです。先発が(九里)亜蓮さんで相手は山口さん。野間さんが八回に無安打投球を続けていた山口さんから先制ソロを打って。自分の中で良かった試合というか、(抑えられて)一番安心した試合でした」

 -同期入団の森浦と1年間1軍で完走した。森浦の存在は。

 「自分と一緒に一度も2軍に落ちることなく戦うことができましたし、森浦が頑張っている姿を一番身近で見ていたのは自分だと思う。森浦の方が登板数も多いし、『森浦が頑張っているから僕も頑張ろう』という気持ちが強かった。これからも一緒に戦っていきたい」

 -新人王の獲得は。

 「取りたいと思って1年間、プレーしていた。たくさんのいいライバルに恵まれて切磋琢磨(せっさたくま)できて、この成績を残すことができた」

 -阪神の佐藤輝、中野、伊藤将をはじめ、ヤクルト・奥川、DeNA・牧ら争いがハイレベルだった。

 「周囲の人に恵まれていたなと改めて感じる。今季は新人という枠はなくなるけど、他の選手にも負けないように頑張って、1年でも長くプロ野球選手でいたいです」

 -夫人の支えも大きかったと。

 「新人王をいただくために頑張ってくれた。いい形で取れて『良かったね』と言ってもらえた。喜んでもらえて良かった」

 -今季は新人も入ってきて先輩になる。

 「トヨタの後輩(ドラフト3位・中村健)も入ってきたし、新人のみんなを少しでもサポートできたらと思う。分からないことがあれば、ぜひ聞いてきてほしい。聞いてもらえるような環境づくりをして、しっかりとコミュニケーションを取っていきたい」

 -昨季以上の数字を残すために改善していくところは。

 「制球力ですね。投球回数の半分を超える四球を出している(52回1/3で28四球)。それだけ相手にチャンスを与えていることになるので。ストライクゾーンで勝負できる球をしっかり投げることが大事。昨年まで阪神にいたスアレスは四球が少なくて(62回1/3で8四球)、1イニングで投げる球数もすごく少なかった。そこを目標にやれたらいいかなと思います」

 ◆栗林良吏(くりばやし・りょうじ)1996年7月9日生まれ。愛知県出身。178センチ、83キロ。右投げ右打ち。投手。背番号20。今季推定年俸5300万円。愛知黎明から名城大、トヨタ自動車を経て、2020年度ドラフト1位で広島入団。プロ1年目の21年3月27日・中日戦(マツダ)で初登板初セーブ。開幕から22試合連続無失点で新人による開幕からのプロ野球記録をマーク。昨季は37セーブで15年・山崎(DeNA)が持つ新人最多セーブのプロ野球タイ記録を樹立。後半戦は09年・岩瀬(中日)に並ぶ歴代2位タイの20試合連続セーブも達成した。

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