北別府氏が開幕投手のススメ 「開幕戦は意外に打たれない」なぜなら…

 広島時代に開幕投手を9度務め、セ・リーグ最多の6勝を挙げたデイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏が、自身の経験をもとに独自の開幕論を語った。「どうせ登板するなら初戦がいい」。そのココロは、バットが振れていない開幕戦は打ち損じが多い-。

 カープの開幕投手が大瀬良に決まった。キャンプ終盤の練習試合の投球内容を見て、佐々岡監督の気持ちが固まったようだね。

 昨秋早めにひじを手術し、自主トレからキャンプを通した術後の経過を見た結果、“開幕、頼んだぞ”と思える状態になったと判断したのでしょう。

 私が理想とする開幕投手は、エースの立場で1年間、先発ローテーションの軸となり、大車輪の活躍が期待できる絶対的な存在だ。その意味では、手術明けの投手にそれを求めるのは負担が大きいかもしれない。

 今回の指名は、過去の実績や名前、プライドへの配慮があったのだろう。メンツを大切にしたのかな。逆に言えば定石通りに収まったとも言える。

 この開幕投手というのは何回やっても、その日を迎えるまでは緊張したものですよ。

 私が初めて体験したのは1982年の中日との開幕戦。その1週間ほど前に当時の古葉監督から「分かっとるだろう」とまずひと言あって、えっと思ったら、「開幕じゃ」と言われた。

 その開幕戦が雨で中止になった。そして当時、合宿所があった三篠での練習中に翌日へのスライド登板を言い渡され、緊張がハンパないくらい膨れ上がって、もうどうなることかと思いましたよ。

 (結局、小松と投げ合った4月4日の開幕戦は9回を投げ切り3安打完封。ここから7連続完投勝利を含む11連勝を記録するなど、シーズン20勝を挙げ、最多勝のタイトルと沢村賞を獲得。チームのリーグ優勝と日本一に貢献した)

 こんなこともあったね。三村さんの監督就任発表前の出来事。大野の練習場で、ご本人から「来年、行くぞ!」だって。まだ10月。早すぎるでしょ。三村監督、意外と豪快だった(笑)。

 今からオフを楽しむぞ!という時季。その年は私にとってオフがなかったようなものでした。オフの間もずっと開幕投手のことで頭がいっぱいでしたからね。

 開幕投手は緊張するとは前段でも触れたけど、どうせローテーション投手として投げるなら、シーズン幕開けの初戦だね。

 理由は簡単。相手チームの打者も同じ条件で緊張しているし、球のスピードや変化にも目が慣れてなくて反応が鈍い。普通ならホームランされてもおかしくないど真ん中の球を空振りしたり。バットが出てこないことが多いんですよ。

 第2、第3戦と進むにつれ、打者は初安打が出るなどして、徐々に感覚が戻ってくる。先発投手はローテーションが一巡するまで、みんなシーズンの初マウンドだから、慣れという点で打者と差が出てしまう。それなら開幕投手が絶対にいいと思う。

 でも、そこでつまずくと大ごとになるけどね。自身だけでなくてチームへの影響が大き過ぎるから。

 ただし、記録的なことは、ほとんど記憶していない。9度、開幕投手を務めたけれど勝つか負けるか。それ以外はあまり。記憶にないというよりも、開幕という大事な試合を任されて、緊迫の中で覚えていないのかも。

 今思えば開幕予定が2度、ケガなどで飛んだこともあったけど、あれだけ多く任せてもらえた大きな理由は、故障が少なかったからだろうね。

 (大瀬良が開幕の中日戦で勝利を挙げれば北別府氏と並び、球団最多の3年連続開幕戦勝利投手となる)

 大瀬良には、3年連続となる開幕投手に指名してくれた佐々岡監督の期待に、しっかり応えてもらいたい。そして、右ひじの状態や体調面には十分注意しながら、1年を通じてエースとしての重責を果たしてほしいと思う。

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