九里はコツをつかんだはず 薮田もきっかけひとつで変身できる!北別府氏が期待

 今キャンプで見せた広島・九里亜蓮投手(29)の340球を超える投げ込み。カープのレジェンドでデイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「何かコツをつかんだようだ」と語り、伸び悩む若手の刺激になることを望んだ。

  ◇  ◇

 いきなり第1クールで347球も投げるなんてね。驚きましたよ。少し多いかなとも思ったけど、映像で見る限り、ゆったりしたフォームで、力を入れるのはフィニッシュだけという、理にかなった形で投げていた。余分な力が入っていれば、250球も投げるとボールはおじぎするもの。去年までの九里ならそうなっていたと思う。しかし、下半身をしっかり使っており、上半身、つまり腕は振り下ろすだけという感じで楽に、スムーズに投げていた。去年1年間で大きな収穫があったんだろうね。フォームのバランスがよくなっているし、何かコツをつかんだようだ。

 (昨シーズンは九里自身、初めて規定投球回数に到達する130回3分の2を投げ、8勝6敗、防御率2・96。開幕からローテーションを守り続け、順調に成長している)

 しかし、九里も同じだったんですよ。彼らと。

 (彼らとは薮田や床田、矢崎、そして岡田)

 実力がありながら一本調子で力に頼りがちな投球から、なかなか抜け出せない投手たちだ。

 薮田は2017年に彗星のごとく現れて15勝した。あのころはスピードがあったし、そのうえで落ちる球を有効に使えていた。だけど、ここ2年はストライクが思うように取れなくなっている。もともと(ストライク)ゾーンでストライクを取るタイプではなく、ゾーンから外れる軌道を使って落とす球で空振りを取っていた。ところが、これに対して打者が次第に反応しなくなってきた。研究されてボール球を振ってくれなくなっているんですよ。だから苦しい。なのにその球に頼り過ぎて、ほかの球をマスターできていないように見える。ゾーンを通して見逃しや空振りを取れる球種を身につけたら、間違いなく打者に嫌われる投手になるね。

 ストライクが入らず、常に不安がつきまとうから腕が振れない。その結果、球を置きに行くから狙い撃ちされる。相手と勝負する以前に、バックやベンチと戦っているような錯覚に陥ってしまっては、自分の投球どころではなくなってしまう。

 昨シーズンは少し持ち直してきたようだけど、まずはストライクを取れる球を探す。薮田は最多勝を取ろうかというだけの勝ち星を挙げた投手なんだから、きっかけ一つで変わるはず。トライしてダメならまた違う方法でトライする。これに尽きる。

 床田や岡田、矢崎らにも同じことが言える。ストライクが先行しない。力任せというイメージ。自分よりスピードの出ない投手がなぜ活躍しているのかを考えてほしい。“オレの持ち味はコレしかない”という思考は捨てること。過去の幻影にとらわれず、そして変化を怖がらず、どんどん新しいことに挑んでほしいね。みんな素質は十分あるのだから、それだけに歯がゆい。このキャンプ、オープン戦でしっかり結果を出してくれることを願ってやまない。

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