闘病中の北別府氏が高校球児をリモート指導「みんなにどれほど会いたかったことか」

 成人T細胞白血病で闘病中のデイリースポーツウェブ評論家・北別府学氏が、高校球児にリモート指導を行った。広島県福山市の英数学館野球部メンバーとの久々の“対面”は感動の再会でもあった。

  ◇  ◇

 指導するのは1年以上のブランクがあったし、うれしかったね。とうとう3年生には教えることができなかったけれど、みんなにはどれほど会いたかったことか。当日は監督が選手たちの横についてくれた状態で、主に投球フォームをチェックしました。リモートで指導ができるなんて、本当にありがたい。

 英数学館野球部のコーチに就任したのは2018年5月。それが白血病で昨年1月からは指導もできなくなり入院。でも、部員から励ましのムービーや寄せ書きが届けられて、逆に力を与えてもらいました。

 久しぶりに選手を見たけど、やっぱり若いと成長が早いね。1カ月に1回でも成長を感じるのにブランクが1年以上だもの。今回、真っ先に指導したのが投球フォームのアドバイス?足をゆっくり上げてフィニッシュで100の力を出すイメージ。リキまないようにしながらメリハリをつけてやれるように練習からイメージすること。そしてこれらがコントロールを身につけることにつながってくる。これからもそれを考えて練習してほしいね。

 英数学館は学業を大事にする学校だけど、野球やバスケットなどのスポーツにも力を入れている。野球部はグラウンドもあるし。そして、最も大切なことですが、一生懸命にスポーツに取り組んでいる。なにが素晴らしいかって、学校に一歩足を踏み入れたら野球部でない子たちも大きな声で挨拶をしてくれることですね。資格を取るまでは中学生までしか教えることができなかった。高校生は教えたことをダイレクトに真綿が水を吸収するようにすぐに身につく。こんな楽しいことはないです。

 (北別府氏が学生野球資格の回復を意識したのは2012年に野球殿堂入りを果たしたあと。表彰者は資格取得条件が優先されるというメリットを生かし、2017年に取得した)

 資格は取ってよかったと思っている。届け出さえしておけば、高校性にアドバイスができるからね。それまでは後輩にすら声をかけられなかったわけだから。

 アマチュアの指導はプロとはまた違うやりがいがあって楽しい。プロの選手はある程度出来上がって入ってきているわけだから、なかなか指導するにあたり難しい面が多い。しかし高校生はまだまだ伸びしろがあり、なんといっても素直。やってみてうまくいけば心の底から喜ぶし、驚き、ぐんぐん伸びる。そこが新鮮だね。

 チーム自体、まだ甲子園を狙うほどではないけど、最近は強豪校と大会で当たってチームのレベルも上がってきている。

 高校野球と言えば甲子園が最大の目標だと思われると思います。私がリモート指導で話した内容は、高校野球は甲子園出場だけが目的ではないということです。やる以上は甲子園を目指すべきだし、夢を追いかけるのは大切だけど、その先の将来があるわけだから、勉強にも同じくらい打ち込んでほしいと。

 高校野球は勝ち負けだけを求めてもいけない。日ごろの部活動で経験した苦しみ、仲間とともに辛抱強く耐えて乗り越えた末に学んだものは、貴重な経験として後の人生に必ず生かされるはず。そこを強調したいね。

 今回のリモート指導では、久しぶりにみんなに会って私自身、元気をもらいました。ありがとう。この闘病生活を乗り越える大きな力になりました。私も完治目指して頑張るぞ!

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