山口あっぱれ!初先発初勝利 七回二死までノーヒッ投!月間球団新19勝もたらした

 「ヤクルト0-13広島」(30日、神宮球場)

 リーグ4連覇へ突き進む広島に新星が誕生した。2年目の山口翔投手(20)がプロ初先発し、七回2死まで無安打無得点投球。今季最多の13得点を挙げた打線の援護にも助けられ、7回1安打無失点でプロ初勝利。チーム月間19勝は球団史上最多で、若き右腕が新たな希望を運んできた。

 神宮で山口がその名をとどろかせた。球団では17年・中村祐以来のプロ初先発初勝利。「全力でやった結果が勝ちに結びついたので、とてもうれしいです」。初のヒーローインタビューで笑顔の花を咲かせた高卒2年目右腕が、球団史上初の月間19勝を導いた。

 堂々の95球だった。最速147キロの直球を軸にスライダーなどを交えて燕打線を圧倒。無安打無得点投球を続けた中、七回2死で村上のバットを折りながら左前打を浴び「ちょっとよぎった」という快挙を手放した。それでも即座に切り替え、バレンティンを直球で空振り三振。7回1安打無失点。二塁を踏ませない8奪三振の好投でマウンドを降りた。

 村上とは同じ熊本県出身で同学年。ドラフト後にともに受けたテレビ取材で村上は、対戦した際は「バックスクリーンに打ち込みます」と宣言したという。右腕は「死球を当てます」とおどけたというが「絶対打たせん」と燃え続けていた。今季2度目の対戦でこの日唯一の安打を許し「打たれたくなかった」と悔しさをかみしめたが、二、四回は抑えて闘志を示した。

 熊本工時代に礎を築いた。2年夏、秀岳館との県大会準々決勝で延長十回に押し出し死球でサヨナラ負け。試合後、1学年上で現ソフトバンクの九鬼に「いい投手なんだから甲子園で投げろよ」と声を掛けられた。一つの分岐点。当時監督の安田健吾氏も「より一層、練習態度も気持ちも変わった。走るメニューでも必ず先頭で帰って来たり、自覚もあった」と振り返る。

 夏休みには午前8時からポール間30本を走るのが日課だった。「キツかった。あれのおかげで体力がつきました」と山口。3年春にはセンバツに出場し「大きな舞台でやりたい」とプロへの思いを強くした。プロ入りから1年の鍛錬を積み、1軍の舞台で大仕事をやってのけた。

 チームは3連勝で貯金12。緒方監督は「ナイスピッチング。大アッパレだよ」と右腕を褒め称え、次回も先発を任せる方針を示した。ウイニングボールは熊本の両親に贈る。「産んでくれてありがとう。俺、やったよと言います」とはにかんだ。鯉に新星が誕生した。

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