プロ野球記録の２２１５試合連続出場で「鉄人」と呼ばれ、４月に上行結腸がんのため７１歳で死去した元広島の衣笠祥雄さんの「お別れの会」が２８日、広島市内のホテルで催された。広島・緒方孝市監督（４９）や選手らが献花に訪れ、リーグ３連覇と日本一を誓った。午前は広島球団ら球界関係者約８００人が参列し、一般にも公開された午後は約２２００人のファンが名選手をしのんだ。

　優しくほほ笑む衣笠さんの遺影の前で誓いを新たにした。鉄人がこの世を去ってから、約２カ月。緒方監督は「今年もキャンプやシーズンでいろんな野球の話ができると思っていたのに、それができなくて本当に残念というか悲しい」と瞳を潤ませ、「秋にリーグ優勝と日本一の報告ができるように精いっぱい頑張ります」とあらためて決意を立てた。

　会場に飾られた多くのパネルを見て、指揮官は在りし日の鉄人の姿を思い返していた。「失敗を恐れず、思い切って采配を振るいなさい」。監督就任１年目はそう激励された。チームの将来について熱っぽく語り合ったこともある。「カープで日本人の４番を育てたいね」。野手の話に及ぶと、鉄人の眼光は鋭さを増したという。

　昨季から４番に鈴木を抜てきした。若き主砲は右足の故障を乗り越えて、不動の地位を確立しつつある。「今こうして鈴木誠也がカープの４番として成長していく姿というのは、衣笠さんも喜んでいると思う」。衣笠さんとの約束を果たし、緒方監督の言葉には感慨がこもっていた。

　球団史上初のリーグ３連覇を目指す今季もチームは首位を独走する。「衣笠さんの時代はカープが弱い時から黄金時代、強いカープを作られた。それに負けないぐらいのチームを作りたい。３連覇、強いカープを作るために全力を尽くしたい」と指揮官。衣笠さんが願った黄金時代到来へ－。“鉄人魂”を受け継ぐナインと共に歓喜の瞬間まで突き進む。