誠也 衣笠さんに捧げた逆転満塁弾 追悼試合で“鉄人魂”受け継ぐフルスイング

 「広島7-5阪神」(28日、マツダスタジアム)

 広島・鈴木誠也外野手(23)が球団OBで23日に死去した衣笠祥雄氏の追悼試合で今季1号の逆転満塁本塁打を放った。自己最多タイとなる1試合5打点をマークし、チーム今季3度目の4連勝に貢献。ゴールデンウイークの9連戦初戦を勝利で飾り、偉大な鉄人に弔い星を届けた。

 喜びをかみしめるように、鈴木は右拳を強く握った。特別な一戦で飛び出した今季1号は起死回生の満塁弾。「最高でーす!」。鉄人の遺志を受け継ぐ若き4番が、フルスイングで4試合連続の弔い星をもたらした。

 「衣笠さんの大事な試合だったので、勝ちたかった。思い切ってフルスイングしました」

 2点を追う三回1死満塁。最高の場面で2打席目が訪れた。カウント2-2からの6球目。112キロカーブにうまく反応し、左翼席へ2年ぶり3度目のグランドスラムを突き刺した。五回に同点とされたが、再び1点を勝ち越した六回2死二塁では打球が三塁ベースに当たるラッキーな適時二塁打。自身4度目の1試合5打点に「ありがとう!ベース」と笑った。

 宣言通りの一発だ。今回の阪神3連戦は23日に死去した衣笠祥雄氏の追悼試合。球場に半旗が掲げられる中、試合前には黙とうを捧げ、ユニホームの袖に喪章を付けて戦った。鈴木も「衣笠さんはフルスイングが魅力だったので、僕もフルスイングしたい」と予告。今季最多3万1732人へ、往年の背番号「3」の記憶を呼び起こした。

 「レギュラーで出る以上、休まずチームのため、ファンのため、試合に出ないといけない」

 2年前、2215試合連続出場のプロ野球記録を持つ衣笠氏から金言を授かった。鈴木は「その言葉は僕の野球人生で一生、消えることはない」と言う。

 昨年8月は右くるぶしを骨折し、今季も下半身の張りで離脱を余儀なくされた。五回の守備では丸が右足を痛めて途中交代。「丸さんは僕がいない時に頑張ってくれていた。何とか僕が頑張らないといけない」。まだ100%の状態でない中、鉄人の魂が鈴木の体を突き動かしている。

 緒方監督は「最高の結果で応えてくれた。本人が『最高』と言っているんだから最高だったんじゃないか」とえびす顔で称えた。チームは4連勝で、9連戦を白星スタート。鈴木は「これだけのお客さんが来てくれている。9連戦全部勝てるように頑張ります」と誓った。後輩の奮闘を天国の衣笠さんも喜んでくれたに違いない。

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