「広島３－２ヤクルト」（２３日、マツダスタジアム）

　勝負強さを発揮した。執念と意地を込めて広島・安部友裕内野手（２７）がバットを振り抜いた。勝ち越しの一打に真っ赤に染まったスタンドから大歓声が注がれる中、一塁ベース上で両拳を振るわせた。

　「みんながいいところでつないでくれた。一、三塁で右を狙えばゲッツーはない。無理やり一、二塁間を狙いました。何とか１点を取りにいくことができてよかった」

　試合を決めたのは２－２の五回だ。１死一、三塁で迎えた第３打席。１ボールからの２球目、外角寄りの１３４キロチェンジアップを強引に右方向へはじき返した。

　規定打席には到達していないが、打率・３５２と打撃は好調。一方で守備では４失策と結果を残せていない。「周りをしっかり見て何をしないといけないか頭にたたき込んで打席に入っている。守備で結構足を引っ張っているので何とかしようと思っていた」と打撃でアピールを続ける。

　緒方監督は「コンスタントにしっかりやってくれている。こういうバッティングを続けてくれれば、出る機会も増えてくる」と期待を寄せた。

　チームの連敗は３でストップ。「いいきっかけになればいいと思う。あしたも１戦１戦全力で戦っていきたい」。勢いに乗る若鯉が一丸野球の中心にいる。