ドラ1加藤、九回にノーヒットノーラン逃す それでもプロ初登板初先発初星

 「広島4-1ヤクルト」(7日、マツダスタジアム)

 広島のドラフト1位・加藤拓也投手(22)=慶大=がプロ初登板初先発で初勝利を手にした。最速151キロ直球とフォークを武器に、ノーヒットノーランまであと一歩に迫る快投を披露。8回1/3を2安打7奪三振7四球、1失点の熱投を見せた。チームは開幕2戦目から引き分けを挟んで5連勝。今季も鯉の勢いは止まらない。

 はにかみながら右手でウイニングボールを掲げた。初登板初先発で初勝利を挙げ、お立ち台に上がった加藤は、真っ赤に染まったスタンドから“加藤コール”を受ける。「ほっとした。初めは緊張していました。何とか勝てるように最後まで投げたかったんですけど、勝ててよかったです」。表情を崩し、ファンの声援に応えた。

 最速151キロの直球とフォークを武器に真っ向勝負を挑んだ。四球で再三走者を出しながらも、快打は許さない。無心で投げ続け、気がつけば八回終了まで無安打無得点。1987年8月9日・巨人戦(ナゴヤ)の中日・近藤真一以来となる新人初登板でのノーヒットノーランの快挙に迫った。

 九回。1死から山田に四球を与えた。続くバレンティンに投じた132球目のフォークは甘く入り、三遊間を破られた。「こんなもんだろうと思いました。いいプレーをたくさんもらっていたので、そんなに甘くないと思いました」。雄平に右前適時打を浴びたところで降板。ただ、悔いなど微塵もない。

 開幕ローテ入りを逃したが、ジョンソンが体調不良で登板を回避し、急きょプロ初先発の機会が巡ってきた。前日には母・裕子さんに初登板が決まったことをメールで連絡し「よかったね」と励ましの言葉をもらった。勇気を持って投じた135球。「大きな仕事をしてくれた。素晴らしい度胸ある投球を見せてくれた」。緒方監督も右腕の熱投に賛辞を惜しまなかった。

 「背も大きくないですし、(体の)バネもない。補うためには体の力を付けるしかないので」。ウエートやヨガ、鶏肉を中心とした食生活など、野球につながると考えたものには積極的に挑戦してきた。不断の努力が初の舞台で実った。

 次回登板はジョンソンの状態次第となるため未定だが、「自分のできることをやるしかない。四球など課題もあるので、次に向けて修正したい」と加藤。前だけを見据えるルーキーの進化はとどまるところを知らない。

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