野村V逸悲弾 7回2失点力投及ばず

 「巨人2-0広島」(24日、東京ドーム)

 白球が舞い上がった瞬間、野村はがっくりと肩を落とした。打球を目で追う必要もなかった。G党の歓声とともに、それは真っ赤に染まった左翼席に突き刺さる。「点を与えなければ負けない。結果が全て」。坂本に痛恨2ランを被弾。わずか1球が8敗目につながった。

 0-0の四回。先頭・立岡の中前打でこの日初めての走者を許すと、1死二塁のピンチを招いた。坂本をカウント1-2と追い込み投じた内角低めのシュート。「失投じゃない」。コース、高さとも狙い通りだったが、坂本の技術が右腕を上回った。

 8月20日の中日戦(ナゴヤドーム)以来となる1軍登板。チームも逆転優勝へかすかな望みを抱き臨んだ大一番だった。それでも「プレッシャーはなかった」。2軍で一から体を鍛え直し、磨いてきた制球力と球威を出し切ることだけに集中していた。テンポ良く無四球。黒星は喫したが7回4安打2失点にまとめた。

 優勝の可能性はなくなったが、Aクラス入りの可能性はまだある。この日の好投で、次回は29日のヤクルト戦(神宮)での先発が濃厚だ。「チャンスをもらえたら、やるだけ。次は負けない」。先発5番手として期待されながら応えられなかった今季。その悔しさを前面に押し出して右腕を振る。

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