黒田9勝!圧巻虎狩り8回2安打0封
「阪神0-3広島」(11日、甲子園球場)
カープが上位球団に食らいつく!広島・黒田博樹投手(40)が8回104球を投げ、2安打無失点で9勝目を挙げた。抜群の制球力で阪神打線を手玉にとった。この日の白星で、チームは引き分けを挟み3連勝で借金を2に減らした。4位ながら、首位ヤクルトとは4ゲーム差。残り19試合で、奇跡を起こす。
甲子園は、黒田のものだった。八回、代打の梅野を右飛に打ち取ると、悠然と敵地のマウンドを降りた。「阪神はいい打線。こういうピッチングができて自信になる」と笑った。負けられない一戦で、勝利への道を切り開く快投劇だ。
今季2度目の聖地で持ち味を発揮した。制球力は抜群で、ツーシームやスライダーをコーナーに集め凡打の山を築く。0-0の二回は福留に左翼線二塁打を浴びたが「後の打者を抑えればいい」と、動じることなく後続を3人で斬り、無失点で切り抜けた。
終盤になっても安定感を失わない。2-0の七回2死、今成を追い込むと内角へツーシーム。左打者のボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる146キロの“フロントドア”で見逃し三振に斬った。
八回を投げ終え、球数は104球。07年6月3日の楽天戦以来、日本球界復帰後初の完封も視界に入った。「余力?まだありましたよ。ザキ(中崎)や大瀬良が毎試合スタンバイしていたから休ませてあげたいと思っていたんですが。もう少し若かったらね」。今後の登板に向けて首脳陣の判断で、この回で任務を終えた。三塁を踏ませず8回2安打無失点。緒方監督は「1球1球、丁寧に気持ちを込めて投げてくれた。素晴らしい投球だった」と最敬礼した。
疲労がたまるシーズン終盤。コンディション管理を意識した日々を送る。前回登板から中5日。この間、メジャー時代の9月と同様にブルペン投球を行わなかった。「向こうにいるときもこの時期は極力、ブルペンは減らしていた。体調さえしっかりとしていれば大丈夫」。ダッシュやランニングメニューを増やし体のキレを維持してきた。ラストスパートへの準備は万全だ。
阪神戦は自身3連勝で2桁勝利に王手。チームも引き分けを挟み3連勝し、首位ヤクルトとのゲーム差を4に縮めた。「目の前の試合を、粘り強くしぶとくやっていくしかない」。逆転優勝へ向け追走ムードに、40歳右腕が再び火を付けた。
