新井で鯉5連勝!2771日ぶり復帰弾

 「阪神0-10広島」(9日、甲子園)

 広島の新井貴浩内野手(38)が今季初の5連勝に導き、チームは最下位から脱出した。五回に今季1号2ラン。広島での一発は、07年10月7日のヤクルト戦以来、2771日ぶりだ。七回にも2点適時打を放って4打点と活躍したが、この打席で左手の痛みを訴え、試合中に病院へ直行。本人は「大丈夫」と強調したが、今後については10日の状態をみて判断する方針だ。

 美しく弧を描いた打球は、左中間スタンドに到達した。歓声と悲鳴、複雑な感情が交差する中で新井は、淡々とダイヤモンドを一周した。喜びは最小限。ホームベースを踏むと、小さく握り拳をつくった。古巣から放った復帰1号。広島では2771日ぶりの一発だった。

 出場28試合、96打席目。待望のアーチは1点リードの五回に生まれた。2死二塁。3ボールからの4球目、外寄りの直球を狙った。バット一閃(いっせん)。スタンドインを確信した新井は、振り切ったバットを振り戻して、ボールの到達地点を見届ける。過去280本と同じように、281本目もフルスイングだった。

 スタンドを見上げる。赤いユニホームが揺れていた。「うれしいね。移籍してからもずっと、捨てずに持ってくれていたってことでしょ」。真新しい「28番」、少し古びた「25番」も見える。背中には「ARAI」。変わらぬ声援、ファンの笑顔が胸に響いている。

 8年ぶりの復帰。広島は新井を歓迎した。一度は涙で別れを告げた故郷。それでも温かかった。「“お帰りなさい”と大声援をもらってね。まさか俺が、夢にも思っていなかった。今度は自分が、喜んでもらえるようにね」。自らの意思で決めた古巣での再出発。だが、そこに「恩返し」の思いも加わった。

 七回には1死二、三塁から、中前に抜ける2点タイムリー。4打点の活躍で試合を決めたが、直後に状況が暗転した。この打席で左手の違和感を訴えて途中交代。そのまま大阪市内の病院へ直行した。診断名は「左手中指伸筋腱脱臼」。包帯を巻いた状態で、チーム宿舎に戻った新井は「大丈夫、大丈夫」と軽傷を強調した。

 同率を含めた最下位からの脱出は、3月31日のDeNA戦(横浜)以来だ。4月17日・中日戦(マツダ)で新井が4番に定着して以降、18試合で68打数23安打(打率・338)15打点。チームも5連勝と波に乗る。10日の阪神戦は大事を取って休養する可能性が濃厚だが、上位進出へ不可欠な存在。38歳のベテランはグラウンドに立ち、全力プレーでチームを鼓舞する。

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