堂林プロ初満弾!強い鯉今季初4連勝

 「DeNA1‐7広島」(19日、横浜)

 広島・堂林翔太内野手(22)が横浜に集結した鯉党を熱くさせた。七回1死満塁で左中間席へ豪快にたたき込む、2試合連発の4号満塁本塁打。自身初のグランドスラムで接戦に終止符を打ち、チームを今季初の4連勝へ導いた。貯金も1998年以来16年ぶりの「8」となった。

 左翼席、三塁側を真っ赤に染めた鯉党のボルテージが最高潮に達したのは七回だった。梵の押し出し死球で1点を追加し、なお1死満塁。代わったばかりの高崎と対峙(たいじ)した堂林は、失投を逃さなかった。初球だ。138キロ直球を捉えた打球は、一直線で左中間席に飛び込んだ。

 割れんばかりの絶叫の中、喜びを押し殺してベースを一周した。2試合連発となる一撃は、プロ初の満塁本塁打。「完璧です。見た通りです」。試合後も両手に残る最高の感触。初めて経験する余韻に酔いしれた。

 ミスを取り返すには打つしかなかった。四回2死一塁で、梶谷の三塁ファウルゾーンへの飛球を落球。力投する同学年の九里の足を引っ張ってしまった。「打つ方で何とかしたかった」と、汚名返上へ必死だった。

 首脳陣もホッと胸をなで下ろした。オープン戦後半から不振に陥った堂林は中日との開幕3連戦後の翌日に、野村監督、新井打撃コーチと修正に励んだ。そこでアドバイスされたのは「バットを内側から出せ」だった。その通りの打撃ができれば本塁打を放つ。しかし長く続かない。指揮官は「キャンプから新井コーチに何度も言われているのにね。あいつは分からないよ」と嘆いたこともあった。

 紆余(うよ)曲折はあったが、状態は確かに上向きだした。12年6月23日の中日戦(富山)での3試合連発以来となる2試合連続本塁打に、自身最多タイの1試合4打点。愛弟子の爆発ぶりに、野村監督は「1試合1本打てば気分よくやってくれるでしょう。僕も欲は持たないようにしているよ」と頬を緩めた。

 今季は開幕戦こそスタメンに名を連ねたが、2戦目以降は三塁の“聖域”を小窪、木村、田中に奪われた。初めて経験するプロの厳しさ。だが堂林は自らの手で、その座を取り戻そうとしている。チームも4連勝で16年ぶりの貯金8。波に乗ったプリンスが加わった鯉打線は間違いなく、他球団の脅威となる。

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