NPBリプレーセンターの現状 公正性確保、負担軽減「想定通りに機能」も「完璧ではない」判定精度向上に求められるものとは?

リプレー検証のリクエストする藤川監督
公開されたNPBのリプレーセンター内部
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 日本野球機構(NPB)が東京都にある事務局内に「リプレーセンター」を設置し、プロ野球のリプレー検証を一括して行うようになって5カ月を迎えた。公正性の確保や判定精度の向上、審判員の負担軽減を掲げて今季開幕戦から本格導入されたが、その効果はどうなっているのか。改めてルールを確認しつつ、センターの現状や新たに浮き彫りになった問題点や今後の課題をセ・リーグの杵渕和秀統括の話を交えて探った。

 ◇       ◇

 試合中、リプレーセンターには、検証担当の1軍審判2人と、機材を操作するオペレーター1人が待機。モニターで中継をチェックしながら、現場から「リクエスト」の連絡が入ると、映像を確認して「判定維持」か「変更」かを判断し、グラウンドで待つ責任審判にヘッドセットを通じて結果を伝達する。

 昨年まではリクエストが行使される度に、現場の審判が球場内の審判控室に移動し、ビデオ機器を操作して確認を行っていた。効率の悪さに加え、自分たちの判定したものを検証する精神的な負担は否めなかった。

 杵渕統括は「チームの方からは仲間内の判定を変えづらいのではないかとの声もあったが、現場に立ってない“第三者”の審判が判定を導き出すことで客観性が上がった」と話す。22年からは判定を下した当該審判は検証に加わらなくなっているが、より公正性が担保される仕組みが実現している。

 例年シーズンを通じてのリクエスト件数は500件ほど。今季は交流戦までに179件で、センター稼働に左右されることなく例年並みのペースで推移。日によってばらつきはあり、1日9件のリクエストがあった日も。懸念されていた同時リクエストも数件発生したが「担当者がうまく対処」したという。

 地方球場では回線の不調により、審判が裏に下がって電話で直接結果を聞いたケースがあったが、検証は全てセンターで実施。「想定通りに機能している」と総括する。

 一定の効果が認められる一方、判定への疑問、判定に至った根拠の提示や透明性を求める声も上がっている。

 6月10日のソフトバンク-阪神戦(ペイペイD)は注目を集めた。阪神・藤川球児監督が、熊谷選手の二盗のアウト判定についてリクエストしたが判定は覆らず。藤川監督は審判に抗議して退場を宣告された。球団はこの事態を受け「アウトの根拠、どういう映像を見たのか」を示すよう求める書面を提出した。

 この案件に限らず、リプレー検証時に場内で流れる映像を見た球団関係者や観客らの反応と、判定結果が一致しないケースはある。

 杵渕統括は「視聴者やファンが見ている映像より、センターでは操作機能を駆使してもっと掘り下げた映像を確認できている」と説明する。

 「判定精度の向上」を目的に設置されたセンターでは、映像閲覧のための専用アプリが使用されており、新たにズームや超スロー、コマ送りなどでの確認が可能になった。「普通に流れている映像を見て受ける印象と、検証結果が違うことは当然出てくる。乖離(かいり)はあります」と理解を求める。

 では、判定の決め手となった映像を提示したり、説明したりすることは難しいのだろうか。

 例えば韓国プロ野球(KBO)では、リプレー検証の結果を公式サイトに掲載し、どの映像を根拠に判定したかを確認できる。「KBOさんのように納得性を高める努力は大事だし、センターの担当者(審判)の名前を出すべきとの声も承知している。今後、どういうことができるか検討しなければ」と話す。

 センター設置によってファンが判定に求めるレベルも上がっているが、検証で使われている映像が、従来と同じ各球場のテレビ中継映像頼みである点は変わっていない。専用カメラは保有しておらず、球場によってカメラの台数や性能、角度などに格差もある。多額の費用をかけて構築されたMLBやKBOのような環境には及ばないのが現状だ。

 「センターは完璧なわけではありません。もう一段階上げていかないと、みなさんが思っているようなリプレー検証には追いつかない。より鮮明な映像やいろいろな角度の映像、専用カメラを増やすなど改善していくことは今後の課題です」

 12球団が本拠地球場に導入し、チームの戦力分析などに活用する「ホークアイ」システムをMLBやKBOのように検証材料に採り入れることも研究課題だが、いずれにせよ財源の確保という問題が立ちはだかる。

 中継の放映権を持っているのはNPBではなく各球団。検証の精度を高め、よりよい判定を実現するには、各球団の協力が欠かせない。18年のリプレー検証制度「リクエスト」導入から9年目。センター設置でステップは上がったが、さらなる改善が期待される。

 【リプレー検証制度のルールや注意事項】

 ◇リクエストを行使する場合 監督は判定後、速やかにベンチ前に立ち、球審に向けて手で「四角」のサインを送る。

 ◇映像を確認してのリクエスト要求NG 監督以外にリクエストの権利はなく、ベンチ内のコーチやスタッフらがリプレー映像を確認して監督にリクエストを催促することはできない。

 ◇検証結果への異議申し立てNG

 検証での裁定は最終的で、一切の異議申し立てや説明の要求は認められない。反した者と監督は試合から除かれる。

 ◇検証時間は5分以内 7分かかったケースもあったが、目安は5分。確証のある映像がない場合はリプレーセンターの審判員の判断になる。

 ◇検証後の場内放送 ルール上の説明および責任審判員が必要と判断した場合のみ行う。

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