女子投手が春季リーグ戦で初登板 前日本ハムの斎藤佑樹氏とキャッチボールが原点 広島に“野球留学”も 香川大・村山優羽投手の挑戦
四国六大学野球リーグ2部の香川大に所属する村山優羽投手(2年)が、4月の春季リーグの香川高専戦でリーグ戦初登板を果たした。大量リードの展開となった五回にマウンドへ。1回2失点でのデビューとなったが、男子に交じって腕を振る姿は確かな存在感を示した。
初登板のマウンドは「めちゃくちゃ緊張しました」と苦笑い。それでも、「男子相手でも自分の武器は通用する」と確かな手応えもつかんだ。
千葉県出身。野球を始めたのは小学1年の冬だった。東京・江戸川区の少年野球チームでプレーし、当時は男女混合の中で白球を追った。中学では祖母が監督を務める女子軟式チームに所属し、本格的に投手へ転向した。
「小学校の頃はコーチだった祖母が、中学で監督になってくれた」
ソフトボールで国体出場経験もある祖母の指導のもと、投手としての基礎を築いた。
中学卒業を控えた頃には、忘れられない経験もある。叔父が専属トレーナーを務めていた縁で、2021年限りで現役を引退した前日本ハムの斎藤佑樹氏のキャッチボール相手を務めた。
「プロのレベルを肌で感じることができた。すごく貴重な時間でした」
その経験が、より高いレベルへの挑戦意欲をかき立てた。
進路選択でも“挑戦”を選んだ。関東地区の強豪チームから勧誘も受けたが、「強豪校に入れば埋もれてしまうと思った」と、身長や体格に不安を抱えていた当時、あえて環境を変える決断を下した。
選んだのは「女子野球タウン」に認定された広島県廿日市市にある公立校の佐伯高。下宿生活を送りながら野球に打ち込む“野球留学”だった。
「1年から試合に出たい気持ちが強かった。それと、チームを強くしたいという思いもあった」
高校ではケガなどがあり満足な結果を残すことはできなかったが、着実に力を伸ばしていった。
大学進学の際、さらに大きな決断を下す。香川大の佐野賢裕監督の誘いもあり、男子主体の硬式野球部への挑戦を決意した。
「最初は正直、不安もあった」というが、実際に飛び込んでみると環境は想像と違った。
「みんなすごく優しくて、居心地がいい。女子だから使われるわけではない。実力がなければ使ってもらえない」
何よりも大きかったのは、“女子”ではなく“1人の選手”として見てもらえることだった。厳しさの裏にある公平な評価が、モチベーションにつながっている。「その中で認めてもらえるのは、本当にうれしいです」と表情を緩めた。
最速は110キロ台。直球とカーブを軸に、現在はチェンジアップの習得にも取り組んでいる。
「スピードで押すタイプではないので、コースに投げ切ることが大事。まだ打者一巡で精いっぱい。2巡、3巡と投げて試合をつくれる投手になりたい」
スタミナと制球力の向上が、次のステージへの鍵となる。
将来の夢は明確だ。
「4年間やり切った後、女子野球の世界で日本代表を目指したい」
教育学部に籍を置き、その後は指導者として野球に関わり続ける道も視野に入れる。
「せっかく野球に出会えたので、何らかの形で関わっていきたい」
プロとの出会い、広島での武者修行、そして大学野球。すべての経験が一本の線となり、未来へとつながっている。
