東北福祉大7年ぶり決勝進出 佐藤悠太が2ラン含む4安打3打点 イップス発症し報徳学園時代は無名も
「全日本大学野球選手権・準決勝、東北福祉大8-5青学大」(14日、神宮球場)
準決勝2試合が行われ、東北福祉大が史上初の大会3連覇を狙った青学大を8-5で破り、優勝した2018年以来7年ぶりの決勝進出を決めた。佐藤悠太外野手(3年・報徳学園)が先制打と2ランを含む4安打3打点と躍動。福井工大は東海大を6-5で下し、準優勝した21年以来4年ぶりに決勝へ駒を進め、初優勝に王手をかけた。
高校時代に日の目を見ることがなかった苦労人が、全国の舞台で輝いた。東北福祉大の佐藤が放った打球はバックスクリーンへ一直線。三塁側スタンドに拳をかかげ、軽快にダイヤモンドを一周した。
2点リードの六回2死二塁で来秋ドラフト1位候補に挙がる鈴木の直球を捉えた。中堅フェンスを軽々と越える特大の2ラン。「打った瞬間入ったなと思いました」と会心の一発で勝利をたぐり寄せた。三回2死一、二塁でも今秋ドラフト候補の中西から先制の中前適時打、五回1死二塁では左前打で一挙5得点に貢献。4打席連続安打と快音は鳴りやまなかった。
報徳学園には投手で入学。右肘痛をきっかけにイップスを発症し、2年秋には野手に転向するも高校野球の大半をBチームで過ごした。「野球は高校まで。ここが限界かな」。白球との決別も頭をよぎったが、打者で再びプロ入りの夢を追いかけるべく、東北福祉大の門をたたいた。
入学後はウエートトレーニングに励んで体重は75キロから約10キロ増加。人知れず重ねた努力が全国で結実した。「野手としてこういう舞台でプレーできているとは想像もつかなかった。野球を始めた時と同じような感覚で大学も楽しんで野球ができています」。高校時代の挫折を経て、佐藤はまた野球のとりこになった。
優勝まであと一つ。「ここまで来たら気持ち。食らい付いていきたい」。遅咲きのスラッガーがチームを日本一へと導く。
◆佐藤 悠太(さとう・ゆうた)2004年11月22日生まれ、20歳。神戸市出身。180センチ、83キロ。右投げ右打ち。外野手。小3から六甲アイランド少年団野球部で野球を始め、向洋中ではヤング神戸ドラゴンズでプレー。報徳学園では3年春に初めてベンチ入りし、夏は背番号20。東北福祉大では1年秋からリーグ戦出場。大学通算4本塁打。





