DeNA・蝦名 急死の兄に捧げるV打 涙こらえ猛打賞、巧守も魅せた 青森商でともに野球部「喜んでくれると思う」
「DeNA4-0中日」(22日、横浜スタジアム)
我慢強い男が、お立ち台で声を詰まらせた。DeNA・蝦名達夫外野手の目には、こらえていた涙があふれた。「先日、兄貴を亡くしてしまって…。兄の分もやらなきゃいけないと思ってるんで、思い切ってやりました」。5月上旬に最愛の兄が死去。悲しみを胸にしまい、初回の適時打を含む3安打猛打賞。守備でも2つの巧守で魅せ、勝利をたぐり寄せた。
5日以来となる先発出場に奮い立った。「野球に集中するしかない。今、自分ができることは集中すること」。一回2死一、二塁から初球の直球をとらえ、三塁・ボスラーのグラブをはじく左前適時打。四回の守備では田中の右中間に抜けようかという当たりをダイビングキャッチした。
白球に触れたきっかけは、先に野球を始めていた兄の影響。幼い頃は一緒にキャッチボールし、ともに青森商野球部に進んだ。この日の活躍に「兄も喜んでくれていると思う」と静かに話した。
三浦監督は、そんな蝦名を思いやった。「非常につらいことだと思う。それをグッと心に秘めて試合に臨んでくれている」。初回の適時打を「初球からしっかり振れるってことは、準備できて頭の整理ができている。それを打席の中で行動に移せた」とたたえた。
佐野、桑原、度会らがひしめく外野のレギュラーを狙う27歳。「僕がしっかりチームを引っ張っていけるように頑張っていきたい」と涙をふいた。




