【解説】中日 石川昂弥はなぜ伸び悩んでいるのか 打撃の名伯楽、内田順三氏が「弱点」指摘 「ひとつ無駄な動作が入る」
中日の開幕4番、石川昂弥内野手が結果を残せず、13試合で2軍降格となった。19年ドラフト1位で入団した期待の大砲。伸び悩みも見える23歳の課題はどこにあるのか。巨人・阿部慎之助(現監督)ら数々の強打者育成に携わった打撃の名伯楽、内田順三氏(デイリースポーツウェブ評論家)は「速球への対応」と、打撃フォームの問題点を指摘した。
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ここまでの結果、打撃の内容を見ても2軍落ちは仕方がない。彼は23年に13本もホームランを打ち、昨年はその勢いで乗っていければ良かったが、もうひとつ伸びきれなかった。今季は4番でスタートし、井上監督としても対戦カードひと回りは我慢しようという思いがあったと思う。4番であろうがバントをすることも不思議ではない。ただ、打撃でも守備でも信頼を得られなかったね。
井上監督としても、やはり勝たなければいけないし、他の選手の士気にも影響することで抹消したんだろう。もう少し、下位打線の楽なところで使ったらいいんじゃないかとも思うけど、チームとしても地元のスターを作りたいんだろうね。
打撃の課題については、インサイドのボールに振り遅れるよね。差し込まれての内野ゴロという打席も見た。その原因としては、トップにいくのが遅い。ピッチャーが足を上げた時には定まっていないといけないが、石川はそこからもうひとつ無駄な動作が入る。今のフォームでは低めなら対応できるが、高め、懐のあたりのボールは苦しくなる。このあたりを変化できるかどうか。
メジャーでも結果を残している打者は動きながらタイミングを取っても、トップの位置に入ったら動かず、ワンピースでバットを出す。日本でもどんどん球速が上がっている。切り返しの部分でトップからいかに素早くバットを出せるか、というのは大事なことだろうね。
ファームでは、がむしゃらに泥くさくやってほしい。メンタル面、体力面でも欠けているところが伸び悩んでいる要因でもあると思う。何時間でもマシンに向かって打ち込むことも必要だろう。そうすることで何かが見えてくる。
並の打者なら、高卒4年目で13本も打つことなんてできない。能力はものすごくある選手。あとは脳力。考えてやることも大事。苦しい経験をしたんだから、次に上がった時は「ニュー石川」を見せられるように。自分で切り開いていかないといけないね。





