DeNA・筒香「良い時の感覚取り戻す」朝5時起床し運動、7時に球場入りし打撃練習に没頭 16年目シーズン「優勝以外にない」

 25年シーズンに並々ならぬ思いで臨む選手を取り上げるキャンプ企画「今季に懸ける」。第4回は、DeNA・筒香嘉智外野手(33)が登場する。米球界を経て昨季4月に古巣へ電撃復帰し、今年は6年ぶりに日本でキャンプイン。唯一無二の存在感を放つ背番号25の、プロ16年目に挑む独自の流儀に迫った。

  ◇  ◇

 武骨な男の顔に、穏やかな笑みが浮かぶ。

 「状態は今のところ、すごく順調です」

 フリー打撃では、左方向へ伸びのある打球を連発。筒香にとって、好調時のバロメーターでもある。

 6年ぶりに宜野湾で迎える筒香の朝は、決まって早い。午前5時には起床し、エクササイズをスタート。まだ暗闇が広がる同7時には球場入りし、打撃練習に着手する。一流選手ほど準備を大切にするという定説を、身をもって証明している。

 そして、そのルーティンは、以前日本にいた時とほぼ変わっていないという。11月で34歳を迎えるが「年齢に応じて何かをするってのは全くないですし、体が動かないっていう認識も全くないです。体が動きにくくなってきたとか、出力が落ち出しているとかだと考えないといけないですが、その感覚が全くないです」。使用するバットも「十何年、一緒。長さは33・5インチ、重さは31・5オンス(約890グラム)、32オンス(907グラム)の2本です」と軸はブレない。

 復帰1年目の昨季は故障もあり57試合出場、打率・188、23打点、7本塁打。一方で、日本シリーズ第6戦では決勝弾を放つなど、シーズンの数字以上に勝負強さは健在だった。

 「以前アメリカにいた時に崩れた部分もありましたし、またアメリカでは気付かなかった自分の感覚っていうのは、日本に帰って来て気付く部分もありました。前のいい時の感覚プラス、アメリカで得たものもプラスアルファで。まず基本は、良かった時の感覚に戻す。体も違いますから、全く一緒にすればいいとは思っていないですけど、そこにいろいろ付け(足し)ながらいければいいなと思っています」

 「良かった時」とは、「2015、16年くらい」と、本塁打王を獲得した9年前の前後をベストに掲げる。「打ち方とかではなく、その時に明確に持っていた自分の感覚というのを、もう一度取り戻したい、という感じですね。外見が全く一緒でも中身が違うので」。

 昨秋の日本シリーズ直前には、自らの身体にその感触がよみがえったという。「そのいい感覚の維持は最低限」。キャンプ序盤は、体に再びフィットするフィーリングを染み込ませる作業に時間をかけてきた。若手時代の師匠にあたり、筒香が「僕の打撃の基礎」と話す大村巌野手コーチ(55)は、まな弟子が理想の打撃を追求する姿を「“秘伝のタレ”みたいなもの。一貫した基本があって大きく変わらないけど、継ぎ足して味に深みが出て、バージョンアップしている」と表現する。

 第4クールでは、筒香にとって初実戦を迎える。「日本のキャンプは6年ぶりですし、この時期に日本の投手と対戦することはないので。実戦でしか分からないものばかりですから」。大村コーチは「仕上がりは早いくらい。土台は出来上がってきているので、次はそれを磨き上げていく段階」と経過に太鼓判を押している。

 外野手の定位置争いはハイレベルかつ、熾烈(しれつ)だ。佐野、桑原、梶原、度会らがひしめくが「選手として一つのポジションを取りにいくというのは大前提。それは何歳になろうが、何年になろうが、どの国にいようが変わりない。特別なものは何もないです」と当然のごとく受け止めている。「プロ野球選手として、開幕戦に定位置にいること。それは誰もが思うこと」とシンプルな心構えで、自らのなすべきミッションと向き合っている。

 「毎年、数字のことを思ってプレーしたことはないです。そこを見て野球をやっているわけではないので。シーズンが終わった後で事実として数字が出る。もちろんそこに対して責任が伴います」。くしくも背番号と同じ「25」年シーズン。「優勝以外にないです」。そのピースとなるべく、筒香は感性を研ぎ澄ませている。

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