1位指名が高額契約金を辞退したわけは? 元中日スカウトが明かす1995年ドラフトの舞台裏「そんな選手じゃないから6000万でいいって言わせた」
中日OBで引退後は中日、楽天でスカウトなどを務めた早川実氏が13日に配信された高橋慶彦氏のYouTubeチャンネル「よしひこチャンネル」に牛島和彦氏とともに出演。中日が熊本工の荒木雅博を1位指名した1995年のドラフト会議について回顧した。
早川氏は当時九州地区担当で、荒木が高校2年時からマークしていたという。ただ、95年のドラフト会議で中日が狙ったのはPL学園の福留孝介。7球団が競合した末に抽選で交渉権を獲得したのは近鉄で、中日は外れ1位も東海大相模の捕手、原俊介を競合した巨人に取られてしまった。会議に参加していた当時の星野仙一監督はカーッとなって席を外しそうになり「おまえら勝手に決めろ」と言い放ったという。
星野監督が遊撃手の獲得を希望していたから、他のスカウトと相談して荒木を指名することに。事前に荒木サイドには「4位指名、契約金3000万円」でOKをもらっていたが急転、1位指名になった。
高校生で1位指名なら契約金8000万円程度が当時の相場だったが、もともと3000万円で話がついていた選手。そこで早川氏は球団は高額な契約金を提示したことにし「荒木に『だけど僕はそんな選手じゃないから6000万でいいです』って言わせたんです」と打ち明けた。
「今でもあいつは言うけれど『あのおかげですごくいい印象で上がれた』って」と早川氏。この謙虚な言葉の効果で球団に大事に育てられ、2018年を最後に引退するまで通算2045安打を放った荒木氏に今でも感謝されるのだという。
このエピソードを聞いた高橋氏は「言葉一つやねえ」としみじみ。牛島氏が「謙虚が一番です」と同調すると高橋氏は「無理やわ。今は大丈夫やけど。あの当時は謙虚という字、意味がわからんもん」と話し、ともに若手時代はやんちゃで知られた2人で笑い合った。





