広陵エース・高尾 雪の甲子園11奪三振ショー 1失点完投発進「日本一を実行できるように」

 完投で11奪三振の好投を見せた広陵・高尾(撮影・石井剣太郎)
 試合に勝利し、駆け出す広陵ナイン
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 「選抜高校野球・1回戦、広陵3-1高知」(21日、甲子園球場)

 1回戦3試合が行われ、広陵が高知を3-1で下し、3年連続の初戦突破を決めた。先発したエース・高尾響投手(3年)が5安打1失点、11奪三振で完投。最速146キロを計測した直球を軸に、雪も舞うほど低い気温となった聖地でアウトを積み重ねた。21年ぶり4度目の優勝を目指し、好発進。次戦は25日の第1試合で青森山田と対戦する。

 最後の打者から空振り三振を奪うと、高尾は小さくジャンプし、充実の表情で整列へ向かった。最高気温は9度。途中、雪も舞うほど冷えた聖地で117球の熱投。「初回からいい流れに乗って投球できた。真っすぐも走っていたし、自分の有利なカウントが作れた」と快投を、淡々と振り返った。

 初回に先制点をもらい、波に乗った。三回は1死一、三塁のピンチを招くも、1番・筒井を初球のカーブで遊ゴロ併殺打。カーブはここまで引っかかり気味だったが、ベンチでリリースの力み具合を再確認。注文通りの結果に「いいところに決まってくれました」とうなずいた。

 最大の見せ場は八回だ。1死二、三塁。高知がエンドランを仕かけてきたが、低めの変化球に打者は空振り。三塁走者を挟殺プレーに追い込もうとするも捕手・只石の送球が三塁走者に当たり、ホームイン。不運な形で1点差に詰め寄られた。なおも1死三塁。一打同点のピンチにも高尾は冷静だった。「打たせないという気持ちで投げていた。ギアを上げました」と9番・片井をスライダーで空振り三振。1番・筒井は内角直球で三邪飛に打ち取った。

 高尾の武器は体の丈夫さにある。昨秋の神宮大会後から、ペースを落とさずブルペンで投げ込み、調整を続けてきた。多い時では200球を超える日も。「自分は投げて覚えていくタイプ。多く投げて自分の感覚をつかんでいった」。一冬を越え、制球力とキレを増したスライダーは、軸である直球と並んで、右腕の大きな武器に。この日マークした11奪三振のうち、4つはスライダーが決め球だった。

 1年春の中国大会から名門の背番号1を背負う逸材は、今大会で3季連続となる甲子園のマウンド。最高学年となり、自覚も十分だ。中井哲之監督(61)は「高尾がよく投げてくれた。副キャプテンの立場もありますし、責任感がある」と精神面の成長に目を細めた。

 昨春は準決勝で山梨学院、昨夏の甲子園大会は3回戦で慶応と、ともに優勝校に敗れた。いずれの試合でも先発を託されたが、勝利を呼び込むことができなかった。「今大会は日本一というのを掲げてやっている。それを実行できるようにやっていきたいです」と高尾。絶対的エースが21年ぶりの春頂点へ、チームをけん引する。

 ◇高尾 響(たかお・ひびき)2006年5月22日生まれ、17歳。福岡県出身。身長172センチ、体重72キロ。右投げ右打ち、投手。小学1年から軟式の土井ジャガーズで野球を始め、粕屋東中時は硬式の飯塚ボーイズに所属。広陵では1年春からベンチ入り。1年秋の神宮大会では準優勝。2年春のセンバツではベスト4。最速148キロ。

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