昨年まで巨人の関西地区担当スカウトを務め、今年から社会人野球のミキハウスで現役復帰する桜井俊貴（３０）が１０日、三重県伊賀市の「ミキハウススポーツスタジアム」で始動した。

　異例となるスカウトからの現役復帰。転機は仕事の現場でいきなり訪れた。スカウトになって約半年が経過した昨年６月。母校・立命大に足を運んだ際に、同校野球部のＯＢ会長からミキハウス入部の誘いを受けた。

　選手としての未練は２０２２年の現役引退時に断ち切っていた。ただ、「１００試合以上見させていただいて（自分も）やりたいなと思った」とスカウト業でアマチュアの選手を見続ける中で現役復帰への思いが加速。妻と幾度も話し合った末にマウンドへ戻ることに決めた。

　この決断に周囲は驚きの声を上げたが、元巨人監督・原辰徳氏は「その道で頑張りなさい」とエール。上司だった水野スカウト部長からも「やりたいことをやるのは自分の人生で大事」と前向きな言葉で背中を押され、再びユニホームに袖を通した。

　約１年のブランクがあるが、体重も現役時から約２キロ減にとどまっており、「不安はない」ときっぱり。「東京ドームで投げたい」と都市対抗野球などの舞台となる、かつての本拠地への帰還を目標に掲げた。

　◆桜井　俊貴（さくらい・としき）１９９３年１０月２１日生まれ。３０歳。兵庫県神戸市出身。１８１センチ、８７キロ。右投げ右打ち。北須磨から立命大に進学し、２０１５年度ドラフト１位で巨人に入団。プロ４年目で初勝利を記録した。２２年に戦力外通告を受けて現役を引退。通算成績は１１０試合に登板して１３勝１２敗、防御率５・１８。