「横浜ＤｅＮＡベイスターズ１－０読売ジャイアンツ」（２６日、横浜スタジアム）

　こわばっていた表情が、ようやく柔らかさを取り戻した。登板前にＤｅＮＡ・東が「絶対に負けない」と誓い、有言実行となった８回０封で１６勝目。「苦しいイニングもあって精神的に疲れました」。おどけて笑った顔に充実感がにじむ。１９８３年の遠藤一彦に並ぶ球団最長の自身１２連勝でＣＳ進出に王手だ。

　序盤は我慢の連続だった。二回は１死満塁とし、三回は１死一、二塁で巨人の中軸を迎えた。それでも「ゾーン内で勝負したらヒットを打たれることもある」と、焦ることなく自らを信じ続けた。

　勝ち続ける重圧を感じながら、連勝記録については「気にしていない」とこれまで明言は避け続けてきた。だからこそ「球団の歴史に名を刻めたことは素直にうれしい」と初めて言葉にできる喜びを試合後はかみしめた。

　フル回転を見せる一年で、自宅には“パワースポット”が設置された。これまでのウイニングボールは全てケースに入れてリビングの一角へ。「奥さんが全部やってくれています。増えていくとやっぱりうれしい。勝ちたいなと思いますね」。積み上げた１６個の白球が原動力になった。

　これで最多勝のタイトルに加え、最高勝率（・８８９）も見えてきた。チームは残り５試合で、東の次回登板は未定。栄誉ある初タイトルへ。東が進化の一年を駆け抜ける。