オリックス 今世紀初のパ3連覇 中嶋監督が初めて本拠地で舞った 94年西武5連覇に「チャレンジ」

 リーグ3連覇を決めて胴上げされる中嶋監督
 優勝トロフィーを手にする中嶋監督
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 「オリックス・バファローズ6-2千葉ロッテマリーンズ」(20日、京セラドーム大阪)

 オリックスが逆転で2位ロッテを下し、3年連続15度目(阪急時代の10度を含む)のリーグ優勝を果たした。阪急時代に75年から78年まで4連覇して以来の3連覇で、中嶋聡監督(54)は就任から3年続けてのリーグ制覇となった。関西球団による両リーグ制覇は阪神と南海(現ソフトバンク)が勝った64年以来59年ぶり。2年連続6度目の日本一を目指し、クライマックスシリーズ(CS)には10月18日開始のファイナルステージから出場する。

 満員の本拠地が大歓声で包まれていく。あと1死、あと1球。歓喜の時が刻一刻と迫る中、中嶋監督の表情は変わらなかった。そして、悲願達成。やっと笑みがこぼれ、コーチ陣と熱く熱く抱き合った。

 「何とかここで胴上げしたいと思っていましたので、本当にうれしいです」。ゆっくりとナインが待つ、マウンドへと向かう。1度、2度…計5度、初めて本拠地のファンの前で宙に舞った。

 今季も決して楽な道のりではなかった。不安や苦しみ…。中嶋監督の口からはマイナスの言葉さえも聞こえてきた。吉田正尚の米大リーグ移籍は大きな損失。「吉田正尚の代わりは絶対にいない」。指揮官だけでなく、誰もがそう思っていた。

 だからこそ、束になった。「全員でやっていくしかない」。全員野球が強み。監督とコーチ、選手がグラウンドで戦い、裏方も手を尽くす。歓喜の輪には2軍スタッフも加わって、喜びを分かち合った。

 連覇を成し遂げても挑戦者であり続けた。決して王者としてのおごりはない。「本当に強いと思ったことがない。まだまだ強くなるチームだと思います」。現有戦力の底上げは必須条件。スタメンの確約はない。FAで加入した森も例外ではなかった。「そんな簡単に譲る捕手陣じゃない。勝ってきた自信もあるでしょうし」。若月や頓宮にも刺激を与えた。若月は森の離脱中に奮闘。頓宮は打撃が開花し、クリーンアップに厚みが増した。

 投手陣も次々と新星が現れた。開幕投手には高卒3年目の山下を大抜擢。球団内からも驚きの声が上がった。2軍監督時代から期待の目を向けてきた、東も夏場から台頭。中継ぎ陣には徹底して3連投をさせず。全パ監督としてはWBC組の球宴出場にも配慮した。全ては選手のため。「俺が何を言われてもいい。責任は取るので」。自らを犠牲にしてでも信念を貫いた。

 常に2軍戦を確認し、状態を見極める。「何とか花開いてほしい」と昇格させた選手はすぐに起用した。降格の選手にも焦らせることはない。対話し、理解を求めて背中を押した。時にはブルペンで投手の球を受け、練習中には野手とノックを受ける。手塩にかけた選手たちの成長を親のような温かい目で見守った。

 報道陣に作戦や起用の意図について話すことは絶対になかった。選手を名指しで批判することもない。ただ、消極的なミスには自然と言葉数が増えた。29年の現役生活を過ごしたからこそわかる。後悔をしてほしくなかった。

 選手との見えない壁を壊すだけでなく、裏方にも気を使わせることを嫌がった。時には食事の場を設け、ある日は数人で焼き肉店へ出向いた。年下に酒をつがせることもなければ、肉を焼かせることもない。指揮官と水本ヘッドコーチが手を動かし続けた。

 昨季はゲーム差なしでの劇的な逆転優勝。21年も僅差だった。今季は最も不安視されたが、圧倒的な力で独走優勝。最長連敗は4で7月9日から1位を走り続けた。この強さは本物だ。

 パ・リーグでは21世紀初の3連覇。リーグでは94年まで5連覇した西武が最長だが、その記録も夢ではない。「そこにチャレンジできるチームであると思います」。もう不可能はない。オリックス・バファローズは常勝軍団になった。

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