佐々木麟 聖地ノーアーチで涙の敗退 父・洋監督が猛反対も花巻東へ「息子とか関係なく一番怒られた」

 「全国高校野球選手権・準々決勝、仙台育英9-4花巻東」(19日、甲子園球場)

 準々決勝4試合が行われ、4強が出そろった。花巻東は仙台育英に敗れ、高校通算140本塁打の佐々木麟太郎内野手(3年)はノーアーチで聖地を去った。準決勝は仙台育英と神村学園、慶応と土浦日大が対戦する。

 決死のヘッドスライディングも、思いは届かなかった。九回2死二、三塁。花巻東・佐々木麟が一、二塁間へのゴロを放つ。だが、二塁手にダイビングキャッチされると、頭から一塁へ飛び込んだ。

 半回転するほどの勢いだったが、間一髪でアウト。顔と背中を黒土で汚したまま、しゃがんで数秒間立ち上がれなかった。「3年間やってきたことが終わってしまう切なさが巡ってきた」。仙台育英の校歌が流れる中、泣くもんかと何度も唇をかむ。しかし、アルプスにいる仲間の元へ向かうと、涙をこらえきれなかった。

 甲子園最後の打席は仲間がつないでくれた。八回2死で見逃し三振し、9点を追う最終回の攻撃は4番から。「みんなが自分まで回せって言ってくれて…。本当に回ってくるなんて考えていなかった」。みんなの思いが一つになり、5打席目が巡ってきた。

 苦しい3年間だった。高校の進路を決める際、花巻東1択だった。だが、父・佐々木洋監督(48)が猛反対。どうしても花巻東のユニホームを着て、甲子園でプレーする夢を捨てきれず、親子の縁を切って進学を決めた。

 入学後も周りからの期待感、常に付きまとうケガ。「息子とか関係なく一番怒られたし、トータルして苦しんだ。でも、支えがあって今がある。支えてくれた全ての方々に感謝したい」と思い返すと涙が止まらなかった。

 プロスカウトが最も進路を気にするスラッガーだが、今後については「まだ全く考えていないので、岩手に戻ってからゆっくり決めたい」と話すにとどめる。最後の夏は終わった。だが、甲子園の土は集めなかった。「野球人生はここで終わりじゃない」。涙を拭いて、また前に歩き出す。

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