佐々木朗希完全試合の舞台裏 ロッテの若き最強バッテリーは「あうんの呼吸」

 今シーズン、デイリースポーツ記者の心に残った試合、場面を振り返るオフ企画『一投一打』。ロッテ担当の水足丈夫記者は、佐々木朗希投手(21)と松川虎生捕手(19)のバッテリーが完全試合を達成した4月10日・オリックス戦(ゾゾ)を挙げた。快挙の背景にあった2人の固い絆をつづる。

 27人目の打者、杉本から三振を奪うと、佐々木朗は両腕を空高く突き上げる。女房役の松川はマウンドへ駆け寄り、右手で力強く握手をかわした。2人で38歳(当時)の若きバッテリー成し遂げた史上16人目の完全試合。松川が献身的な支えと、絶妙の配球で後押しした偉業と感じている。

 高卒3年目で直球にさらに磨きのかかった佐々木朗だが、今季初登板の3月27日・楽天戦は6回3失点で降板し、チームも敗れた。同戦は佐々木朗が自分で配球を組み立てていたが、2試合目の4月3日・西武戦から松川主導の配球に切り替えた。8回1失点で初勝利を挙げ、そして快挙のオリックス戦を迎える。

 試合前日9日の夜。2人で食事をしながら注意点などを話し合った。当日、登板前のブルペンの状態は良くなかったというが、松川が佐々木朗を勇気づけた。状態が良くないときは「大丈夫っしょ」と声をかけるのが日課。この言葉で佐々木朗も安心してマウンドへ上がれたのだ。

 試合では松川の配球がさえ渡った。球界屈指の強打者、吉田正をいかに抑え込むかが勝敗の鍵と見ていた松川の好リードもあって3三振を奪取。四回2死は初球、2球目とカーブで追い込み、フォークで空振り三振に仕留めた。意表を突く配球について右腕は「松川を信じて投げました。松川のいいリードに応えながらいい投球ができた」と結果につながったことを感謝した。

 同戦は2人の固い絆が垣間見えるシーンもあった。六回1死満塁。松川があと数センチで柵越えを逃した中堅フェンス直撃の3点二塁打を、佐々木朗は頭を抱えて悔しがった。

 試合前のロッカーで佐々木朗は「今日は何本打つやろな」と声をかけていた。期待に応えてくれた打球が、プロ初本塁打にならなかったことを本気で悔しがったという。

 朗希の喜びは松川の喜び。松川の喜びは朗希の喜び。あうんの呼吸の2人は、来季も最強バッテリーへと成長していく姿を見せてくれるだろう。

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