落合博満氏「9月は投手力」「8月に投手をつぶすと戦えない」岡義朗氏が三つ巴の2010年を回顧

 現場時代、阪神担当として今でも印象に残っているシーズンがある。2005年以降、虎が最も優勝に近づいたであろう2010年シーズン。メジャーから城島が加入し、マートン&ブラゼルの助っ人勢が大活躍。平成のダイナマイト打線と呼ばれ、投手陣に故障が相次いだ中、序盤から原巨人とデッドヒートを繰り広げた。

 しかし最後に優勝をさらったのは落合中日だった。中日は79勝62敗3分け、阪神は78勝63敗3分けで両チームの差はわずか1ゲーム。つまり1勝差で優勝を逃してしまった。

 その年、阪神は6月以降の快進撃で巨人との差を縮めた。8月終了時点で2位・巨人に1ゲーム差をつけ、首位に立った。しかしチーム内では故障がちで手薄となった投手陣が夏場前からフル回転していたこともあり「9月がどうなるか」と不安視する声もあった。

 そこで三つ巴の争いを抜けてきたのが中日。9月に入って以降、15勝7敗と一気にペースを上げて、阪神と巨人を抜き去った。その当時、阪神で野手チーフコーチを務めていたデイリースポーツ評論家・岡義朗氏は後年、同学年の落合博満氏からこんな言葉を聞いたという。

 「8月に投手をつぎ込んでしまうと9月は戦えない。とにかく夏場は我慢しなきゃいけない」

 セットアッパーの浅尾が12勝47ホールドと圧倒的な成績を残し、守護神の岩瀬は42セーブ。強力な2人を9月にフル回転させることができたのも「中日は1年間トータルで考えていたんだろうね。我慢するところでは我慢しないといけない」と語った岡氏。「9月は投手力の勝負になってくる。いかにゲームを壊さないで打線が得点を奪えるかがポイントになる」という言葉は、あのシーズンを経験したゆえの重さがある。(デイリースポーツ・重松健三)

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