DeNA・上茶谷を支えた番長グラブ 今季初先発で三浦監督初の貯金「1」贈った

 「ヤクルト1-6DeNA」(1日、神宮)

 DeNA・三浦大輔監督(48)がコーチ時代から手塩にかけて育ててきた上茶谷大河投手(25)が、就任2年目で初の貯金生活となる1勝を運んできてくれた。今年1月、右腕は指揮官が現役時代に使用していたグラブを要望。メンタル面などの成長を認め、現役時代の“相棒”を授けた三浦監督。その2人の思いに、デイリースポーツのDeNA担当・中田匡峻記者が迫った。

  ◇  ◇

 堂々と腕を振り、勇ましい姿が神宮のマウンドにあった。今季初先発の上茶谷が7回1失点で今季初白星。チームは今季初の貯金1となった。「初回に援護をもらい、すごく入りやすかった。野手の方に守ってもらい、リズムが良くなりました」と感謝した。

 序盤から、直球がさえ渡った。打者の左右関係なく内角に投げ込んだ。二回、村上に被弾するも崩れない。捕手の戸柱から声をかけてもらい、心を落ち着かせた。七回に山田、村上、サンタナを三者凡退に仕留めると、自然と感情があふれた。

 左手にはめたグラブのためにも、恥じる投球はできない。青いグラブには「18 D・MIURA」。三浦監督が現役時代に使用した物を、今年の1月にもらった。指揮官は「入った時からずっとくれくれ」とねだられていたことを明かしていた。なぜ、欲しかったのか-。上茶谷は「それは内緒です。すいません…」とけむに巻いたが、指揮官は思いを感じ取っていた。

 1年目の投手コーチ時代から目にかけた右腕。ここ2年は思うような成績が残せない中でも「あいつの覚悟。今年にかける思いが」と明かす。さらに「入った頃はカッカしながら、ムキになって投げていた。話しかけても、話が入ってないんじゃないかぐらい」。ただ今はメンタル面の成長も実感している。

 「みなさん(記者)が温めていたネタが、ようやく日の目を見るのか」と三浦監督。期待をかけつづけた男の左腕で映えたかつての“相棒”。就任後初の貯金生活という恩返しに、番長は心の底から笑みを浮かべた。

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