ヤクルト日本S進出 ベテラン燃えた!青木が千金2点打「日本一を」

 日本シリーズ出場が決まり、胴上げされる高津監督(撮影・高石航平)
 8回、勝ち越し打を放ち、オスナ(中央左)と抱き合う青木
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 「セCSファイナルS・第3戦、ヤクルト2-2巨人」(12日、神宮球場)

 「2021 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルS第3戦は、王手をかけたヤクルトが、1点を追う七回に青木宣親外野手(39)の左前2点打で試合をひっくり返した。序盤からチャンスを作りながらも無得点に封じられていた中、頼れるベテランの一振り。チームは引き分けたが、CSの規定で日本シリーズ進出を決めた。

 胸を打つ鼓動がしばらく止まらなかった。青木がほえ、拳を握った。総立ちで迎える仲間たち、一人一人と抱き合う。「野球をやっていて、ああいう瞬間は格別。いい思い出になりました」。一振りで決めたCS突破だ。

 終盤のワンチャンスを逃さなかった。1点を追う七回、安打と2四球で作った2死満塁の好機だ。巨人・原監督もここで左腕・中川を投入。青木はネクストから投球練習を見つめ、静かに深呼吸した。「みんながつないでくれた。何とかしたい」。仲間の熱い思いがベテランに伝わった。

 序盤に得点機がありながらも無得点。だからこそ「初球から甘い球は迷わず打っていこう」とバットを強く握ると、初球の直球を振り抜いた。腹をくくった打席で、華麗に決めた流し打ち。打者2人が生還し、一振りで逆転に成功した。

 2021年2月、青木は目を輝かせていた。「日本シリーズに出たいですね。出て、日本一になりたいです」。リーグ制覇の先にある大きな夢。今春のキャンプで高津監督、古田臨時コーチら黄金時代の選手たちと接したことで、強い思いが自然と言葉になった。

 今季は新型コロナウイルスの影響を受け、2度の隔離を経験。青木自身も初めてのことだったが、弱音は一切吐かず、後輩たちの背中を押し続けた。古田コーチのバッテリーミーティングにも志願の参加。「知らないよりは知っている方がいい」と貪欲な姿勢で力に変えてきた。

 メジャーからヤクルトに帰ってきて21年で4年。自身初となる日本シリーズ進出を、自らのバットで決めた。「優勝したら、優勝だけでは物足りなくなってしまった。日本一を目指して頑張りたい」。ベンチでは21年から主将を託した山田と熱く抱擁。みんなとかなえる夢には、まだ続きがある。

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