オリックス・T-岡田「ホンマに優勝したかった」悔しい思い多かった16年【特別手記】

 オリックスが25年ぶり、13度目のリーグ優勝を果たした。27日、2位・ロッテが楽天に敗れ、確定した。25日に全日程を終えていたため、この日は中嶋聡監督(52)以下、ナイン、スタッフらが京セラドーム大阪に集結し、仙台の戦いを見届けた。16年目のT-岡田外野手(33)がデイリースポーツに手記を寄せた。今季は通算200本塁打を達成するなど低迷するチームを長年主砲として支えてきたベテランが、初優勝への思いを綴った。

  ◇  ◇

 やっと、やっと優勝できた。ホンマに優勝したかった。最高です。

 プロ入り16年目。いつも悔しい思いばっかりしてきた。2010年からレギュラーになってAクラスは14年の1回だけ。すごく責任を感じた。毎年、シーズンが終わるたびに同級生の安達と“どうやったら勝てるんやろう”って話してた。チームを引っ張れって言われてもどうやったらええんやろ?よく分からないまま先輩方は抜けていった。自分がやらなアカンという思いばっかり強くなって、結果が出なくて…。

 僕の場合、不思議と試合の中でここっていうところで打順がまわってくる。でも、打てないことの方が多かった。そういう日は寝られなかった。強い人間じゃないんで、投げ出したいと思った日もあった。

 今季も4月は打率・172、0本塁打、13打点と全然打てなかった。そんなとき、嫁(彩夫人)に“あんたがそんなんやったらアカンやん”って言われて、目が覚めた。自分の成績はもういい、なんとかチームを盛り上げたいと思うようになった。すると打てるようになった。嫁は僕の扱い方を分かってる(笑)、救われたところはたくさんある。家族には感謝しかない。

 今年は9月30日のロッテ戦で益田から九回に逆転3ラン打ったり、交流戦で広島・栗林からサヨナラ打を打ったりしたので、勝負強いと言ってもらえた。今までにはなかったことです(笑)。

 (19年オフに)プエルトリコ(ウインターリーグ)に行けたことが大きかった。カルチャーショックだった。そんなに適当でいいの?っていう感じ。ロッカーでは爆音で音楽を流して踊ってるようなヤツらが打席になったら目の色が変わる。ここというときのスイッチの入れ方がスゴイ。日本では練習から丁寧にやるのが普通やったけど、それだと集中力がもたへんのかなと思うようになった。今までは考え過ぎていた。プエルトリコから帰ってきて、そういうことがなくなってきた。

 もっとできたんじゃないかという思いもある。悔しかったのは8月21日の西武戦で今井に当てられた死球をきっかけに右太もも裏を肉離れして離脱したこと。今季は10死球。通算で球団最多の81になったらしい。でも逃げるのはイヤ、顔以外は逃げる気はなかった。去年から打席でベースにくっついて立っている。相手投手が“コイツよけへんぞ”ってなったらボールは甘くなってくる。死球も一つの出塁なんでね。

 最後にチームメートに感謝したい。言い方は悪いけどアホばっかりなんで(笑)。僕が考え過ぎるタイプなんで、そういう雰囲気でやれていることが救われた。最高のチーム、このチームで優勝できてホンマに良かった。(オリックス外野手)

 ◆T-岡田(本名・岡田貴弘=おかだ・たかひろ)1988年2月9日生まれ、33歳。大阪府出身。187センチ、100キロ。左投げ左打ち。外野手。背番号55。今季推定年俸8500万円。履正社から2005年度高校生ドラフト1巡目でオリックス入団。プロ1年目の06年8月10日・西武戦(京セラドーム)で初出場。10年に登録名を「T-岡田」に変更。本塁打王・ベストナイン各1回(いずれも10年)、ゴールデングラブ賞1回(14年)。通算成績は1303試合、1172安打、203本塁打、701打点、打率・259。

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