「楽天０－５日本ハム」（１８日、楽天生命パーク宮城）

　日本ハム・加藤貴之投手にとっては未知の世界だったが、全く問題なかった。「行く気満々でした」。気合を入れて九回のマウンドに上がると、最後は三者凡退締め。プロ６年目で初完投初完封勝利を挙げ、「本当に素直にうれしい。いつかはしたいと思っていた」と声を弾ませた。

　無四球と抜群の制球力がさえ渡った。六回には２死からの連打で一、三塁のピンチを招いたが「１点ＯＫっていう気持ちで投げた」と浅村に対してフォークを投じ、空振り三振に斬った。七回を投げ終え、「目標」だった初の規定投球回にも到達した。

　今季限りで退任する栗山監督にも成長した姿を見せた。短いイニング限定で先発するショートスターターや中継ぎでの起用も多かった左腕のキャリア。指揮官から「いろんな使い方をして悪かったと言葉をいただいた」という。それでも加藤の思いは真逆だ。

　「僕の長所を生かしてくれたし、監督の下で野球ができてよかった。でも最後くらい、こういう投球もできると見せられた」と恩返しの投球がギリギリ間に合った。