阿南光・森山 投げ切った!完封負けも定年退職迎える中山監督に恩返しの179球
「全国高校野球選手権・1回戦、沖縄尚学8-0阿南光」(16日、甲子園球場)
第3試合で阿南光(徳島)が沖縄尚学に完封負けを喫した。来秋のドラフト候補として注目されるエース左腕・森山暁生投手(2年)は序盤から打ち込まれたが、179球を投げきり完投。8回13安打8失点で甲子園デビュー戦を終えた。打線は沖縄尚学・当山渚投手(3年)の前に沈黙。目標としていた聖地1勝はならなかった。
憧れ続けた甲子園のマウンド、分厚い壁にはじき返されても、マウンドを譲るつもりはなかった。投じた球は179球。「どんな形でも自分で投げ切る」と、強い気持ちを持ち続けた。
初回2死から四球と2本の長打で2点を先制され、全国区の実力を肌で感じ取った。「少しでも甘いところにいったら打ち返される。どのバッターも、どの場面でも隙がない」。いつもなら空振りの取れる外角の変化球がファウルにされ、甘く入った球を痛打された。六回1死満塁のピンチを最少失点に抑えるなど、意地も見せたが、八回にも2失点。打線の援護もなかったが、自分の手で流れを引き寄せられなかった。
試合後は「申し訳ない気持ちと悔しさ。これまで味わったことのない感情がこみ上げた」と硬い表情で話した森山。疲労も感じていなかったといい、「自分のするべき事を成し遂げたかった」と、敗戦の責を一身にかぶった。
今年度で定年退職を迎える中山寿人監督(59)との最後の夏。「一生をかけても返しきれない恩がある」。高橋徳部長(37)とともに、中学時代、人間関係に悩み、学校を休みがちだった自分を救ってくれた恩人だ。夏1勝を贈ることはできなかったが、まだ秋が、そして春がある。年度末まで指揮を執る中山監督とともに次なる目標に気持ちを切り替え「ここに戻ってきて、次は1勝できるように頑張りたい」と、1年後の勝利を誓った。
