「ロッテ６－５日本ハム」（２１日、ＺＯＺＯマリンスタジアム）　

　残酷過ぎる一発だった。歓喜に沸くロッテベンチを、ただただ見つめた。７回３失点、１０三振と力投した日本ハムドラフト１位・伊藤（苫小牧駒大）のプロ初勝利は９回２死、杉浦が逆転２ランを許し、霧散した。

　「本当に申し訳ない…勝ちきれなくて」。栗山監督は声を絞り出したが、頭を下げるだけの内容があった。力のある直球とキレのある縦のスライダーを武器に、伊藤は６回まで２安打無失点に抑え込んだ。「最後の最後で粘りきれなかった。点が入った状態だと後ろの投手にプレッシャーがかかる」と疲れの見えた七回に安田の２ランなどで３点を失い反省した右腕だが、十分に試合は作った。

　この日は四回に先頭のマーティンから空振り三振を奪い、プロ初登板から２３イニング連続で奪三振を記録。８０年に木田勇（日本ハム）が作った新人記録と並ぶ快挙を成し遂げた。「意識していないとはいいつつ、頭の片隅にはあった。一回切れて気持ちも楽になった」と気丈に振る舞うルーキー。次こそ宿願の１勝を手にする。