99年王監督もノーノー投手に代打送り交代させた 日本シリーズは勝利優先

7回を投げ終え、ベンチで工藤監督(右奥)に労われるソフトバンクのムーア(左奥)=ペイペイドーム(撮影・高石航平)
8回から2番手で登板するソフトバンクのモイネロ=ペイペイドーム(撮影・北村雅宏)
試合に勝利し、ソフトバンク・甲斐(右)とタッチするソフトバンク・森=ペイペイドーム(撮影・高石航平)
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 「日本シリーズ・第3戦、ソフトバンク4-0巨人」(24日、ペイペイドーム)

 3連勝で日本一に王手を懸けたソフトバンクは、あと1人で史上2度目のノーヒットノーランリレーを逃した。七回までムーアが無安打投球で八回に登板したモイネロも無安打で続いたが、守護神の森が九回2死から丸に中前打を許し快挙を逃した。日本シリーズでの無安打無得点試合は、2007年の中日が山井、岩瀬のリレーで完全試合を飾ったのがあるのみだ。

 実はソフトバンクの前身であるダイエー時代の1999年日本シリーズでも現在会長を務める王貞治監督が、ノーノー投手を交代させている。

 王監督は就任5年目で悲願のリーグ優勝を飾った。中日との日本シリーズでは1勝1敗で迎えた敵地・ナゴヤドームでの第3戦、先発した永井智浩投手が六回まで無安打無得点投球を続けた。2-0の七回攻撃、1死一、三塁の好機で永井に打席が回ると迷うことなく代打を送った。この回に1点を奪い、七回からは2番手に永井と同期の篠原貴行投手をマウンドに。七回1死からゴメスに安打を許しチームとしてのノーヒットノーランは途切れたが、九回のペドラザを含め3人のリレーで2安打完封勝利を飾った。

 この勝利で勢いに乗り第4、5戦も勝利し4勝1敗で王監督にとって初となる日本一に輝いた。

 第3戦を終えた王監督は「あそこは点をとらないとイカンのでね。リリーフがいるんだし信じてね。シリーズは個人の成績は関係ない」と話した。工藤公康監督が「どうしても勝ちたかった。ペイペイドームで負けるわけにはいかなかったので」とムーア交代を説明したコメント。この年の日本シリーズ開幕戦で完封勝利を飾ったのが、エース工藤だった。

 日本シリーズで先発投手が被安打0で降板したのは、この時が初めてだった。永井は現在、ソフトバンクの編成本部長を務めている。永井の甥は、今年のドラフト1位で巨人に指名された平内龍太投手(亜大)でもある。これも何かの因縁か。

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