広商“連覇” 広陵倒した!甲子園出場消えるも希望失わずチーム一丸でつかんだ頂点

 「高校野球広島大会・決勝、広島商9-1広陵」(9日、鶴岡一人記念球場)

 決勝が行われ、昨夏優勝の広島商が宿敵広陵を9-1で下し“連覇”を達成した。機動力と小技を絡めた「広商野球」で得点を重ね、公式戦初先発の広島智広投手(3年)が広陵の強力打線を8回1失点に抑えた。コロナ禍で2年連続の甲子園出場の夢はかなわなかったが、広商ナインは自らの手で最高の夏をつかみ取った。2面に関連記事

 優勝の瞬間、歓喜の輪がなかったことが特別な大会を物語っていた。それでも広商ナインは充実した表情で整列に向かった。宿敵・広陵を破り、この日が誕生日だった荒谷忠勝監督(44)は「うれしく思う。いろんな方に感謝して勝利をかみしめたい」と、二重の喜びに浸った。

 広商らしさ全開だった。二回1死二、三塁から連続スクイズで相手を揺さぶった。この回5安打を集め、相手のミスも重なり、幸先良く5点を奪った。

 序盤に握った主導権を最後まで離さなかった。バントなどの小技に足を絡めた機動力野球で12安打9得点。投げては広島が8回1失点の好投。強打の広陵打線を手玉に取った。

 8日の準決勝・武田戦ではエース高井駿丞投手(3年)が166球を投げ抜いてチームを決勝に導いた。背番号10を背負う広島は「高井が頑張ってくれたから決勝までこれた。高井の投球を無駄にしないように投げた」と仲間を思いながら腕を振った。

 エースの座は高井に譲ったものの、広島も地道に練習に励んできた成果が、決勝での公式戦初先発という大役につながった。この日は母・智子さんの誕生日でもあった。試合前、LINEで「緊張せずに自分の力を出し切って」と励ましてくれた母の言葉も力になった。優勝という贈り物を届け「最高のプレゼントができました」と喜んだ。

 コロナ禍により3月から約3カ月間はチームも練習がほととんどできなかった。甲子園大会の中止も決まり、選手のモチべーションは低下した。そんな中でも指揮官は「目標を持つことの素晴らしさを教えていかないといけない」と選手と懸命に向き合った。

 チームの合言葉となったのは「Hope is a good(希望は素晴らしい)」。94年に公開された映画「ショーシャンクの空に」で主人公が語った言葉から取った。そこには希望を持って困難な状況に打ち勝とうという意味が込められている。代替大会が開催されることになり「野球ができることに感謝しよう」と選手に語りかけた。

 チーム一丸となってつかんだ頂点。甲子園という夢舞台はなくても最高の仲間とともに戦ったこの経験は一生の財産となるはずだ。野球から学んだ「希望」を胸にそれぞれの道を切り開いていく。

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