ヤクルト・寺島 七夕の夜に待望のプロ初勝利「苦しかったですね」
「中日1-2ヤクルト」(7日、ナゴヤドーム)
七夕の夜に、願いが叶った。ヤクルトの寺島成輝投手(21)が、プロ4年目で初勝利を手にする。握られたウイニングボールの重みが、心に染みた。
1点を争う攻防だった。そんな均衡した試合に、出番は九回に訪れた。1死からA・マルティネスに左前打を許したが、それでも冷静さは忘れない。阿部を右飛、大島を空振り三振に斬って取り、「0」のバトンをつないだ。すると直後の延長十回に、チームは勝ち越し。わずか9球でつかんだプロ初勝利だった。
長く、苦しい時間だった。左腕は「この3年間は何もしていない」と肩を落とす。16年にドラフト1位で入団。それでも大きな期待を寄せられながらも、なかなか結果を残すことができず。「苦しかったですね」と、節目の日に思いをはせた。
喜びが表情に伝ったのは、高津監督も同じだった。二人並んでおさまった写真。寺島は「『うれしいか?』と聞かれたので、『うれしいです』って言いました」とやりとりを明かした。そして指揮官も、思いを込める。「彼の苦労もよく知っている。時間がかかってしまったけど、中心の選手になってほしい。僕もうれしいです」。2軍監督時代から一生懸命練習に取り組む姿を何度も見てきた。喜びは同じだった。
寺島は開幕1軍で今季をスタートさせると、ここまで6試合に登板。劣勢ムードでも、優勢ムードでも、ただただ「必死に」腕を振ってきた。いまだ防御率0・00。「まずは両親に。監督、コーチ、チームのみんなに感謝したい。(次も)投げる機会があれば、必死に頑張ります」。苦節4年目の七夕の夜に、はじまりの1勝を挙げた。