【第2の人生へプレーボール】マシソン 400試合登板の勲章を胸に五輪目指す

 慣れ親しんだユニホームに別れを告げた。外国人選手では球団最長となる8年間在籍。巨人でプレーしたスコット・マシソン投手(35)は、2度の最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得するなど、輝かしいキャリアを日本で積んだ。だがどんな物語にも終わりは来る。「自分のピッチングができなくなった」。自らの限界を悟り、球団側に退団を申し出た。

 今季は自分との戦いだった。昨年8月に左膝を手術。同12月にはエーリキア症という感染症の影響で、40度近い高熱が2カ月ほど続く過酷な闘病生活を送った。体重も10キロ以上落ち込み一時は命の危険も。「2度とユニホームを着られないんじゃないかとも考えた」と絶望を味わった。

 春季キャンプに参加せず3月1日の来日後はファームで懸命のリハビリに励んだ。調整中も1軍の試合を欠かさず観戦。「巨人の選手であるとともに、ファンでもある」。気持ちは常にチームとともに-。忠誠心は固く、不屈の精神で6月の交流戦から1軍マウンドに舞い戻った。

 満身創痍(そうい)の体にムチを入れ続けたが、登板試合数は来日ワーストの28にとどまった。それでも「ひそかな目標だった」という400試合登板達成は大きな勲章だ。舞台は7月8日・甲子園での阪神戦。日本で最もファイティングスピリットをかき立てられた相手だった。「盛り上げ方がすごいし、雰囲気を作ってくれるタイガースファンは大好き。伝統の一戦のライバルという関係は楽しい。逆に彼らを黙らすのはすごく気持ちいい」。感謝の気持ちもあった。

 ハワイの優勝旅行にも参加し、「みんなとまた会うことができて非常にうれしい」と笑顔を見せたマシソン。今後は母国・カナダ代表にアマ選手として参加し、2020年東京五輪出場を目指す。

 ◆スコット・マシソン(Scott Mathieson)1984年2月27日生まれ、35歳。カナダ出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。アルダーグローブコミュニティ高から2002年度ドラフト17巡目でフィリーズと契約。06年にメジャーデビュー。12年から巨人在籍。最優秀中継ぎ2回(13・16年)。通算成績は421試合27勝29敗54セーブ174ホールド、防御率2・46。06・13・17年WBC、19年プレミア12カナダ代表。

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