17年に暴行トラブル…「終わった」と言われたくなかった【巨人・山口の優勝手記】

目頭を押さえながらレフトスタンドへ向かう山口(撮影・西岡正)
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 5年ぶりのV奪回を果たした巨人の山口俊投手(32)がデイリースポーツに手記を寄せた。今季は先発としてリーグトップの15勝を挙げるなど、誰もが認める先発陣の大黒柱として優勝の立役者となった。FAで移籍してきた17年シーズン中の暴行トラブル、エース菅野との関係性、若手への思いなど…。今だから話せる秘話を明かしてくれた。

  ◇  ◇

 初めての優勝を経験できて、今はうれしさで胸がいっぱいです。プロ入りから14年。長かった気もしますけど、本当に最高の気分です。

 32歳になった今季、体のケアにはこれまで以上に気を遣いました。首と腰の痛みを緩和するために5種類以上の枕を使い、妻の協力で消化に良い食事を取るようにしました。それでも肘の違和感で1度、出場選手登録を抹消されましたが、フォームを改善し、シーズン最後まで戦い抜くことができました。

 その時に気になったのは、一緒に練習した若手のことです。いいものを持っているのに、プロの壁の前に小さくなっている選手がいる。悪い結果でも本来の自分の持ち味を出した上でなら、もう一段、上にいける。僕はその過程で、プロでやっていく自信を得た。その経験をチームの未来を担っていく若手に伝えました。

 僕個人としては、野球と離れた目線も大事だと思っていて、好きな経営の本をよく読みます。僕らは個人の経営者のトップで、その集合がプロ野球チーム。監督やチーム状況とリンクするために学ぶことが多いです。一方でチームは家族のような温かさも必要。好きな小説に出てくる「社員は家族」という言葉が心に残っています。お互いの信頼感や絆がチームには大事です。

 そういう意味で、今季は智之(菅野)との関係性も深まったと感じます。昨年までは投球のことを聞いても「足を上げているだけです」と素っ気なくて。だから、今年は僕から積極的に「今日、ここ変えた?」と。そういう会話を重ねるうちに、心が通じ合っていった。智之は本当にジャイアンツの看板を背負って、ここまで頑張ってきた。今年は彼が苦しい時に僕が助けることができた。それはFAで獲ってくれたチームへの恩返しが少しできたと思います。

 僕の原点はFAでチームに来た1年目です。最初は重圧やケガもあって活躍できず、私生活のトラブルでは球団にマイナスのイメージを付けてしまいました。それでも野球をできる環境をいただけた。僕は自分のことを一度死んだ人間だと思っています。消える過去ではないけど、もう一度はい上がる。あれで「終わったな」と言われたくなかった。周りが認めてくれるか分からないけど、まず野球人として野球の成績で見返す。迷惑をかけた分、ジャイアンツのために頑張る気持ちでやってきました。

 最後になりますが、僕には4歳と3歳の子供がいます。毎日の「お仕事頑張ってねー」という言葉がすごく励みです。子供に物心が付く小学校、中学年ぐらいまでは第一線で野球をやりたい。2人には今年、日本一に貢献する自分の姿を見てほしいです。まずは目の前のCS、チーム一丸となって戦っていきます。

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