楽天・聖沢 13年11月3日に日本一が一番の誕生日

聖沢
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 【第2の人生へプレーボール】

 感謝の思いを伝えるため、行かなければいけない場所があった。12月20日、聖沢は故郷・長野を訪れていた。母校・松代高に現役引退を報告。「こんなに長くこの世界で生きられるとは思っていませんでした。11年もプロ野球の世界で生きられて幸せでした」。恩師の柳沢博美監督(現部長)を前にして、自然と涙が出てきた。

 2007年の大学・社会人ドラフト4巡目で楽天に入団。俊足外野手として頭角を現し始めたのは、2年目の09年だった。代走、守備固めとして1軍に帯同し「これが自分の生きる道だと思った」。ブレークの兆しをつかんだ聖沢は、球界屈指のスピードスターに成長した。12年には54盗塁をマークし、盗塁王のタイトルを獲得。「シーズン途中から、後ろから追われているプレッシャーは物凄いものがありました。ご飯が食べられなかったり、吐き気がおさまらなかったり…。苦しみ抜いて獲得した盗塁王でした」。当時の星野仙一監督からタイトル記念として贈られた、指揮官の背番号「77」にダイヤモンドがあしらわれた腕時計は宝物だ。

 13年には球団初の日本一にも貢献。自身のバースデーでもある11月3日に決めた感動的な優勝に「この先を入れても、一番の誕生日でしょう」と振り返った。

 自己最少の27試合出場に終わった今季、覚悟はしていた。10月29日に戦力外通告。周囲からは「まだできる」と惜しまれたが、聖沢は現役を退く決意を潔く固めた。「公立校から出てきた自分が、こんなに素晴らしい経験ができたんですから。悔いはない。そう思ったら、スイッチは切れました。『よく頑張りました』という気持ちでした」。無名の存在からタイトルホルダーにまで上り詰め、日本一もつかんだ。通算1034試合出場、197盗塁。プロ野球人生に区切りをつけることを選んだ。

 来年1月から、野球人として新たなスタートを切る。球団職員となり、東北の子どもたちに野球を教える道が開かれた。「野球を違う角度から見られることに、今からワクワクしています。自分が大好きな野球を、もっともっとみんなにも体験してもらい好きになってもらいたい」。みちのくの野球少年たちの限りない可能性を、聖沢が引き出していく番だ。

 ◆聖沢 諒(ひじりさわ・りょう)1985年11月3日生まれ、33歳。長野県出身。179センチ、72キロ。右投げ左打ち。外野手。松代から国学院大を経て、2007年度大学生・社会人ドラフト4巡目で楽天入団。08年3月20日・ソフトバンク戦(ヤフードーム)でプロ初出場。盗塁王1回(12年)。通算成績は1034試合823安打19本塁打249打点、打率.274。

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