オリックスT-岡田 本能呼び覚ました“魔法のバット”
「日本ハム1-2オリックス」(29日、札幌ドーム)
幾多のバットマンたちが探し求めたという幻の“魔法のバット”は本当にあるらしい。
オレンジ色のそれを手にしたのはオリックス・T-岡田外野手だ。
二回2死一塁の場面ではマルティネスの150キロを捉え、二塁・石井一のグラブをかすめて右前に抜ける強烈な安打を放つと、七回には中堅フェンス直撃の二塁打で先制点をお膳立てした。
そのバットを使い始めたのは前日28日の西武戦から。それも試合途中、第3打席からだった。そこまで6月は48打数7安打の打率・146と絶不調。13日・広島戦では2発6打点と大暴れの日があったのに調子は上向かなかった。そんな悩める大砲がすがる思いで手にしたバットがスラッガーの本能を呼び覚ました。
その打席でいきなり右中間を破る二塁打を放つと九回の満塁の場面ではバックスクリーンに運ぶ自身4発目の満塁本塁打を放った。
「魔法のバットですね。中村さんも2本でしょう」
“中村さん”とはその前日、27日にオリックスを相手に2本塁打を放ったおかわり君のことだ。彼もオレンジのそれを手にしていた。
T-岡田が明かす。
「実は(炭谷)銀仁朗のバットなんです。メーカーの人を通じて銀仁朗が僕のバットをほしいと言うので、“じゃあ銀仁朗のもちょうだい”となって。使ってみたらあれですから」
そのバットを使ってからは6打数4安打、しかも3本が長打とスランプがウソのようにヒットが出るようになった。
T-岡田自身は自らの打撃の調子を「まだ全然です」と評する。半信半疑といったところか。
魔法のバットが大砲覚醒のきっかけになるかもしれない。