オリックス 12球団で唯一完投ゼロのわけ 高山投手コーチ「理想と現実は違う」

 4カード連続勝ち越しと上昇気配のオリックスに異常事態が起こっている。12球団最多の54試合を消化しながら唯一、開幕から完投0のまま。球団記録だった2002年の21試合を大きく更新し、開幕からに限らない連続記録である14年の64試合にも迫る勢い。なぜ完投がないのか、この先もないのか迫ってみた。

 巨人に競り勝った3日も最後のマウンドには守護神・増井の姿があった。リーグトップの14セーブ。危なげなく試合を締めた。同時に開幕からのチーム完投数0は54試合にまで伸びた。

 球団記録である02年の21試合をすでに上回っており、開幕からに限らない場合では14年の64試合があるが、それに迫る勢いだ。

 なぜ、完投がないのか、ブルペンを預かる平井投手コーチは「無理に完投させないわけじゃない。打線との兼ね合いもありますから」と説明する。確かにチーム打率・233はリーグ5位と、ここまで打線の低調が続いている。僅差であれば、リリーフ陣をつぎ込むのもやむを得ない。だが、今季最多得点を記録し、10-0で快勝した5月22日・楽天戦では先発アルバースは8回無失点ながら球数が121球を数えたこともあり近藤に代わった。

 高山投手コーチはこう話す。

 「もちろん完投を否定するつもりはないです。理想は先発投手が最後まで投げきること。できれば週に3人くらい完投してほしい。理想と現実は違う。ただ、目の前のゲームだけを勝てばいいわけじゃない。シーズンを通して考えなければいけない。そのために最善を尽くしている」

 チーム防御率3・56はリーグトップ。守護神の増井だけでなく、セットアッパーの黒木はリーグ2位の13HP、山本も同3位の12HPと勝ちパターンの投手はいずれも好成績を残している。

 だからといってリリーフ陣にフル回転で無理をさせているわけではない。ここまで増井らは3連投まで、高卒2年目の山本に至っては2連投のあとは、ブルペンに待機はさせるが、延長十二回などの非常時以外は準備すらさせずに休養させている。連投だけでない。沢田は19試合に登板し防御率1・89の好成績を残しながらも疲れが見えたところで登録を抹消しリフレッシュさせた。それでも高山コーチは「3、4月はどのくらいやれるのかを見ながらだった。無理をさせてしまった投手もいる」と反省する。

 実は球団最長記録である2014年も高山コーチが投手陣を預かっていた。この年のチーム防御率は2・89、チームは優勝したソフトバンクとゲーム差0の2位だった。ちなみに完投数はリーグ2位の10あった。

 「一番は勝つこと。われわれの仕事はトータルで評価されますから」

 シーズン全体を見渡して、最適な投手起用をしてきた結果が完投0。5日からの阪神戦で今季初完投が生まれても不思議ではない。

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