膳所・森本、勉学と部活両立してメンバー入り
「選抜高校野球・2回戦、日本航空石川10-0膳所」(24日、甲子園球場)
胸を張って甲子園を後にした。日本航空石川に敗れはしたものの、これまでの努力があったからこそ立つことができた大舞台。「憧れていた場所。楽しい時間でした」。膳所(滋賀)の森本光城外野手(3年) は、はにかみながら言葉をつむいだ。
中学3年2学期の成績は全教科で「5」。昨年、京大に全国2番目に多い66人の合格者を出した膳所の中でも成績はトップクラスで、野球部内では1、2番を争う頭脳を持つ。野球を始めたのは中学1年と決して早くはない。それでも勉学と部活を両立してメンバー入りを勝ち取った。
得意な科目は数学と物理。悩みながらも問題を解いていく過程が大好きだという。「野球も同じ。少しずつでもできるようになるのがうれしい」。打てなかった変化球にバットが当たり、やがてそれがヒットゾーンに飛ぶ。小さな達成感が継続力につながっている。
京大工学部への入学を志し、将来は開発者を目指す。現在はスマートフォンや人工知能(AI)などが普及しているが、まだ世にない物を生み出すのが夢だという。その過程にはいくつもの失敗があるかもしれない。それでも甲子園に出場したという成功体験が、背中を押してくれるに違いない。
この日試合に出場する機会はなく、チームメートのバットを片付けるのが仕事だった。「今度は背番号を1桁にしたい」。小さくても着実に前に進み、次の目標をかなえる。